川崎の伝統野菜「のらぼう菜」が遠い宮城の地で広がりをみせている。川崎市多摩区でのらぼう菜を栽培する高橋寛子さん(86)から、宮城県石巻市の農家らが栽培方法などを学んだ。石巻市で本格的に収穫・出荷するのは今年が初めてで、同市で栽培に挑む石原慶太さん(59)は「3年間栽培の検証を続け、やっと収穫を迎えられる」と喜ぶ。
菜の花やたて菜のような見た目の「のらぼう菜」(アブラナ科)は苦みが少なく、軟らかな食感と甘さが特徴。江戸時代から伝わる伝統野菜だが、原産地は不明という。南関東の一部、川崎市内北部などで栽培されている。高橋さんは「作り手が増えるのはうれしい。たくさんの人に味わってほしい」と期待する。
3月ごろから石巻市で始まる収穫を前に、2月22日には、石原さんのほか、同市で農家を営み、のらぼう菜の栽培に挑戦する梶原善秀さん(57)、妻の千恵さん(54)が、高橋さんの畑に訪れた。
晴天の下、青々と育ったのらぼう菜を前に、石原さんらは高橋さんの言葉に熱心に耳を傾けた。
「もっと下から、地面に近いとこから鎌をいれなさい」。高橋さんは夫の孝次さん(享年88)と考案した収穫方法を伝授した。