〈大石賢吾知事に諸課題についてインタビューした〉
-知事は医師の経験から「公助の在り方を変えたい」と政治を志した。今回の当初予算案でその思いを反映した施策は。
まずは高校生への医療費助成制度を創設するほか、(人工呼吸器の装着など)医療的なケアが日常的に必要な子どもらの家族の負担を軽減するため、子どもらを一時預けられる医療機関の拡充や、医療保険適用外となる外出先での訪問看護の費用補助に取り組む。
-今後、公助をどのように充実させるのか。
誰でも安心して生活できる社会をつくるため、市町と協力し医療や介護、福祉の連携も進めたい。高校生への医療費助成だけで人口減少が解決することはなく、できることを一つずつ積み重ねたい。
-医療費助成は本来、市町が事業主体。高校生の分を県が負担することについては議論がある。
市町としっかり協議して助成が決まったと認識している。ただ、どこに住んでも安心して医療が受けられる社会は国が(主導して)実現してほしいと思う。
-本県は若い女性の県外流出が顕著。原因をどう分析しているのか。
県のアンケートによると、15~24歳の女性が県外に就職した理由は「県内に希望する業種、職種がない」が23%、「知識や技能を生かしたい」が15%と高い。魅力ある職場づくりが必要。ただ、県内にどんな企業があるのか知らないという意見もあり、県内の企業情報が若者にちゃんと届いていない可能性もある。また県外の人が長崎県に行ってチャレンジしたいと思える環境をつくりたい。民間の知恵も借りて情報発信の質や効率を上げたい。
-最近は企業誘致が好調。新たな雇用が生まれる一方、地場企業は従業員不足や高齢化に苦しんでいる。
雇用創出や経済発展のため企業誘致は今後も推進する。その中で地場企業とも連携してもらい、チャンスを増やすことも重要だ。地場企業がチャンスを生かして職場環境の改善につなげ、人材確保の競争力を高められるよう一緒に取り組みたい。
-昨夏、核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて渡米した。
現地で面会した方々から、被爆地に対する期待を非常に感じた。従来は長崎市が(平和施策に)力を入れてきたが、県も情報発信に取り組むべきだ。
-知事のパフォーマンスとの指摘もある。
そう言われても必要なことはやらないといけない。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の後継目標に核廃絶が位置付けられるよう広島県と連携して取り組んでおり、1人でも多くの人に私の思いを分かってもらえるよう努力したい。
-石木ダム建設事業で反対住民との対話が滞っている。どう打開するのか。
古里を思う住民の気持ちを大切にしながら、今後も理解を得られる機会をいただけるようお願いしたい。