熊本ヴォルターズ、西川グループ支援の下で経営再建、新B1参入に意欲

B2の熊本ヴォルターズ(運営会社:熊本バスケットボール株式会社/熊本市中央区/代表取締役社長 福田拓哉)が3月1日に臨時取締役会を開催し、西川グループ(キューネットグループ、再春館製薬所グループ、桜十字グループ)支援の下で経営健全化に取り組むことを決定、発表した。

ヴォルターズは昨年6月期決算で経常損益1億4689万円、債務超過6616万円だったが、今年6月の決算ではそれが更に膨らむ見込みとなっていた。すでに熊本バスケットボール株式会社の株式の91.5%を再春館製薬所が取得しており、今後開催予定の臨時株主総会で増資を決定、債務超過を解消するという。経営基盤の強化によりB1昇格、2026年にスタートする新B1への参入を目指す。

B2西地区に所属するヴォルターズは今シーズン、同日現在25勝18敗(勝率.581)の成績でプレーオフ進出圏内の地区3位と健闘中だ。ガードフォワードの谷口光貴は現在3P成功率ランキングがリーグトップ(40.9%)。スティール部門でも磯野寛晃が9位(平均1.2本)と、個々にもハイレベルなパフォーマンスを見せている。しかし債務超過を解消できなければ、成績によらずクラブライセンスのルール上B1昇格がかなわなくなる。

3月1日時点でB2の3P成功率トップの谷口光貴(写真/©B.LEAGUE)

債務超過解消を含む経営再建が喫緊の課題だった昨年7月、ヴォルターズはプロスポーツビジネスに明るい福田拓哉代表取締役社長を迎え経営体制を強化。今回、ヴォルターズの立ち上げからスポンサーとなっている熊本生まれの企業である西川グループから、以下のとおり支援を取り付けた。具体的な支援要請は以下の2点とのことだ。

1) 債務超過の解消を目的とした増資の引き受け(2023年4月に実施予定)
2) 1)の実現や今後の経営判断に関する意思決定を迅速にするための株式の集約と経営再建(2023年2月28日時点で発行済株式の5%を再春館製薬所が取得済みであり、今後100%取得に向け調整を進める)

\--{再春館製薬所、西川代表取締役CEOとヴォルターズ、福田拓哉代表取締役社長のコメント}--

再春館製薬所、西川正明代表取締役CEO(左)と熊本バスケットボール株式会社、福田拓哉代表取締役社長(右)

◇株式会社再春館製薬所、西川正明代表取締役CEOのコメント

私ども西川グループは、キューネットグループ・再春館製薬所グループ・桜十字グループの主要3グループの総称として呼んでおります。西川グループの各社は熊本に生まれ、熊本に育てられた会社の集まりです。

私たちグループの理念として『私たちは熊本に真剣です。』という言葉を掲げ、地元熊本が笑顔で元気になることを願って、再春館レディースをはじめ、イルミネーション、江津湖花火大会、熊本再春館製薬所バドミントンチーム、最近ではeスポーツの再春館SOL熊本など、これまでも取り組んでまいりました。

今回、ヴォルターズからの再建要請を受け、各社代表とも議論を重ねてまいりました。債務超過によるBリーグのライセンスの問題もありますが、経営としても資金繰りも非常に切迫しており、破綻する瀬戸際に立っている現状から、「クラブがつぶれてしまったり、プロリーグに残れなくなってしまう可能性があることを傍観していていいのか」という気持ちが大きくなり、関わり始めたときの想いに立ち返りました。結論として、やはり熊本には熊本に根付くプロクラブとしての熊本ヴォルターズが必要だという考えに至り、しっかりとコミットしてクラブ運営に携わり存続させていくことこそが、結果的に熊本のため、熊本が元気になるためであるという結論に至りました。

私自身、ヴォルターズのホームゲームでの熱気、声援にいつもパワーをもらっています。

経営再建を必ず成し遂げ、健全なクラブ経営を実現し、永続的なチームで夢のもてるチームを目指していきます。さらに、2026年の新B1参入に向けて邁進していきたいと思っております。是非ともブースターの皆様をはじめ、県民の皆様、県内の企業の皆様、そしてメディアの皆様、一緒に応援していただければ幸いです。

◇熊本バスケットボール株式会社、福田拓哉代表取締役社長のコメント

今回の決断は熊本ヴォルターズが存続・発展するためにもがき、苦しんだ末に下した決断でした。クラブとしても多くの皆さんのご支援を頂きながら経営努力を進めてきましたが、それだけでは如何ともし難い壁にぶち当たりました。そうした中で、手を差し伸べるだけでなく新B1に挑戦する機会を頂いた西川グループ様に心から感謝申し上げます。

また、今回の決断に際し、ご理解とご協力を頂きました株主の皆様にも心よりお礼申し上げます。

我々の責任は、大きな後ろ盾を頂いたことに慢心せず、現在進めている改革を推進し、より魅力的で地域と共に歩むクラブづくりに邁進することだと認識しています。熊本ヴォルターズが活動を通じて様々な人や社会や思考をつなげ、大きな価値と可能性を生み出せる核になれるよう、感謝の気持を忘れずに、創造性と行動力を持って今後も地道に活動を続けます。

確かに新B1への参入基準は非常に高く、今のヴォルターズにとっては達成が極めて難しいほどのレベルにありますが、火の国熊本の熱量を考えると、多くの方のご協力とご参加によって乗り越えることができると考えています。NBAに次ぐ世界レベルのアリーナスポーツが、歴史ある街での生活の中に溶け込む未来を夢見て、共に歩んで頂けますと幸いです。これからも、「ヴォルターズのある豊かな人生」を送っていただける仲間づくりに励みますので、引き続き応援、ご参加のほどよろしくお願い致します。

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