庁舎の半数超、移転せず津波対策 浸水想定の岩手、宮城18市町村

高台に移転、再建された宮城県女川町の町役場新庁舎=2018年10月

 東日本大震災で被災した岩手、宮城両県の沿岸18市町村の役場本庁舎が最大級津波の想定浸水域に含まれ、うち半数超の11市町は庁舎を移転せず、防災機能を別の場所に移すなどの対策に取り組んでいることが2日、各自治体への取材で分かった。庁舎被災は震災でも多くの職員が犠牲になったほか、関東・東北豪雨や熊本地震など他の災害でも繰り返され、初動対応や被災者支援に支障が出た。自治体は万全な対応が求められる。

 津波防災地域づくり法に基づき岩手、宮城、福島3県が2022年までに最大津波による浸水想定を公表。共同通信は今年1~2月、3県の沿岸37市町村を対象にアンケートした。

 それによると、本庁舎が想定浸水域に含まれると答えた自治体は岩手、宮城が各9、福島0の計18市町村。このうち宮城県女川町など4市町は、大震災でも津波被害に遭い、庁舎を移転したばかりだった。

 浸水想定を受けて庁舎を移転するかどうか聞くと、以前から移転を計画していた2市を除き「移転予定がある」はゼロ。11市町が「予定はない」と回答した。

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