岡山県内最大埴輪の列が出土 金蔵山古墳「格式の高さ裏付け」

金蔵山古墳の後円部墳頂から出土した大型埴輪列。右側の2基が直径約50センチある

 古代吉備を代表する大型前方後円墳の一つ、金蔵山古墳(岡山市中区沢田、円山)で2日までに、岡山県内最大となる直径約50センチの埴輪(はにわ)の列が出土した。被葬者が眠る後円部墳頂を囲った大型の円筒、形象埴輪とみられる。同古墳は築造された4世紀後半に中四国・九州地方で最大級を誇っており、同市教委は「荘厳な造りで、格式の高さを裏付ける」としている。

 金蔵山古墳は墳長158メートルで県内第4位。県内最大の造山古墳(約350メートル、5世紀前半)などが出現する前段階に築かれた。

 大型埴輪の列は、後円部墳頂から斜面にかけての試掘溝で見つかった。直径約50センチの2基と同45センチの1基の底部が、墳頂外縁に沿うように並んでいる。円筒埴輪か、盾形など何らかの飾りがついた形象埴輪で、推定される高さは1メートル以上。上部の直径はさらに大きかった可能性がある。

 直径50センチの埴輪は県内で類例がなく、造山古墳で確認されている円筒埴輪も40センチ程度という。金蔵山で従来出土していた個体は30センチ前後で、安川満・同市埋蔵文化財センター所長は「墳頂の“聖域”を飾るのにふさわしい大型埴輪を、労力を注いで特別に用意したのだろう」と推測する。

 金蔵山のある操山の南側は当時「吉備の穴海」が広がり、被葬者は海上交通を掌握した有力者だったとみられている。2014年度から続く発掘では全国的にも珍しい導水施設形や柵形の埴輪も出土。畿内の大王墓級の墳丘構造や施設が明らかになっている。

 4日午前10時~午後3時、現地説明会を開く。場所は操山公園里山センター(同沢田)から徒歩約30分の操山の山中。問い合わせは同課(086―803―1611)。

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