大分トリニータ シン守護神・西川幸之介が目指す周作超え 【大分県】

J2リーグ初出場となった開幕戦に勝利し、続く2節では無失点勝利に貢献したプロ3年目のGK西川幸之介が「シン守護神」として評価を高めている。2021年、高卒新人として大分トリニータに加入。レギュラーの椅子は一つでポジションを勝ち取るのは容易ではないが、向上心を高く保ち、出場チャンスに備え用意周到に準備してきた。昨年11月からの2カ月余りの長いオフ期間も体を動かし続け、チーム始動時には「体にキレがあり、メンタルも落ち着いていた。オフにしっかり調整していたのがすぐ分かった」と吉坂圭介GKコーチは今季に懸ける思いを感じ取った。

練習試合で主力組に入ることが多かった西川は、一度も調子を落とすことなく先発の座を勝ち取り、リーグ戦を迎えた。開幕戦は「先発定着の足がかりとしたい」との思いが強すぎて空回りする場面もあったが、2節では「チームが勝つためのプレーをして、そこで自分の特徴を出せたらいい」と気持ちをコントロールしたことで本来の力を発揮した。派手なセーブが少なかったのは、ポジショニングの良さによるものだ。西川のこだわりは「正面キャッチ」にある。「大事なのはポジショニングと足の運び。ステップの踏み方、位置取り、味方を動かすコーチングが正しければ、シュートを打たれたとしても正面でキャッチできる。それが理想」だという。

チーム始動当初から好調をキープする西川幸之介

守備に関しては及第点の結果を残し、攻撃においては「ピッチ全体が見渡せた」(西川)と話すように、自陣で短いパス交換を織り交ぜて攻撃の形を作り、相手がプレッシャーをかけに来れば精度の高い長いパスを相手の背後のスペースに落とした。下平隆宏監督は西川のキックを「しっかりつなぐところと前線に落とすパスを使い分けることで、相手の守備が的を絞りづらくなった。左右の両方で蹴ることができる」と評価した。もちろん改善すべき点もあるが、20歳のGKにとっては、それさえも伸びしろとなる。

かつて大分でプレーし、今もなお日本トップクラスのGKとして君臨する西川周作(浦和)を高校の頃から指導する吉坂GKコーチは、「幸之介は周作と似た雰囲気がある。仲間に安心感を与え、チームを勝たせるGK」と類似点を明かし、「『大分の西川といえば幸之介』と言われるように世間に自分の名を広めなければいけない。これから日本代表でプレーするチャンスもある。いろんな経験をして求心力を高めてほしい」と期待する。もちろん西川もそのつもりだ。「試合に出続けることで日本代表、さらには海外挑戦への道が開ける」としたたかに経験を積み重ねながら、全身全霊を傾けて、大分のゴールを決死の覚悟で守る。

2節では無失点勝利に貢献した

(柚野真也)

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