茨城・石岡 ひな人形で晴明伝説表現 長大ステージに230体

「千年の狐、葛の葉物語」を制作したNPO法人まちづくり市民会議の白井育夫理事長(左奥)と門向啓子さん=石岡市国府3丁目

陰陽師(おんみょうじ)の安倍晴明(あべのせいめい)にまつわる伝説の世界をひな人形のパノラマで表現した「千年の狐(きつね)、葛(くず)の葉物語」が、8日まで茨城県石岡市国府の市まちかど情報センターで展示されている。

同センターの指定管理者、NPO法人まちづくり市民会議(白井育夫理事長)が、市内の中心商店街で3日まで開催中の「いしおか雛(ひな)巡り」の参加作品として制作した。幅約9.9メートル、奥行き約2.7メートルの長大なステージに約230体を並べて構成している。

表現されているのは、人形浄瑠璃や歌舞伎で有名な「芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」の「信太(しのだ)の森 子別れの段」で、幼い頃の安倍晴明が父親の安倍保名(やすな)とともに、白狐の正体をさらした母親の葛の葉と別れる場面。白狐が去り際に残す「恋しくはたづね来てみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」の歌で有名だ。

保名との間に子の童子丸(後の清明)をもうけ、暮らしていた白狐だが、ある日、本物の葛の葉を名乗る女性が現れる。その時の白狐がうろたえる場面や、保名が童子丸らと信太の森を訪れ「もののけでもいい。子のために戻ってきてほしい」と懇願する場面が表現されている。

さらに歳月を経て、老いた晴明が藤原道長と会話をしている場面や、道長の娘彰子を囲んで紫式部らが集まっている場面もある。

展示はNPOスタッフの共同制作。指揮を執った同NPO副理事長の門向啓子さん(64)は「どの場面にどの人形を充てるかを考えるのが楽しかった」。物語の筋書きとは別に、マスク姿など今の世相を反映した人形もひそかに交じっており「楽しんで見てもらえたら」と話している。

開館は午前9時~午後7時。問い合わせは同センター(電)0299(27)5171。

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