バイコレスの新型LMH、ザウバーでの風洞試験を終える「通常のサーキット」でのパフォーマンスには自信

 バイコレスを率いるコリン・コレスは、フロイド・ヴァンウォール・レーシング・チームが開発した新型ノンハイブリッドLMH(ル・マン・ハイパーカー)の信頼性とペースについて、「通常のサーキット」においては自信があるが、開幕戦セブリングでは「サプライズをもたらす可能性がある」と認めている。

 ドイツを拠点とするコンストラクターは、バンピーなことで有名なセブリング・インターナショナル・レースウェイでのWEC世界耐久選手権第1戦でヴァンウォール・バンダーベル680をレースデビューさせるべく、準備を進めているところだ。

■大メーカーと「互角の勝負ができると思っている」

 エステバン・グエリエリ、トム・ディルマン、ジャック・ビルヌーブをドライバーに起用するバイコレスは、2020年以来となるWEC復帰を果たす。

 この車両は、WEC開幕戦の前週に設けられている公式テスト『プロローグ』において、初めてセブリングを走行することになる。

「セブリングは非常に特別なサーキットであるが、我々は(そこで)テストを行っていない」と、チームオーナーのコレスは語った。

「我々は、通常のトラックでは信頼できるパッケージがあることに自信を持っている。セブリングは、性能の面でも、信頼性の面でも、サプライズ(驚き)をもたらすコースになる可能性がある」

「だから、セブリングで何が起こるか見てみよう。いいレースができることを願っている」

「ただそこにいるだけでいいとは思っていない。互角の勝負ができると思っている。かつてのLMP1時代は、小規模チームやプライベーターチームに対してメーカーが大きなアドバンテージを持っていたが、現在はそれとは異なる」

「状況全体が、まったく違うと思うんだ。我々は今、基本的には同じ土俵に立っている。目標は、大きなOEM(マニュファクチャラー)を打ち負かすことだ」

 バイコレスは今年、ギブソンV8エンジン搭載車両のホモロゲーションに取り組み、2月にはホモロゲーション取得に義務付けられる風洞テストをザウバー社で実施した。

 昨年4月にドイツのツヴァイブリュッケン飛行場でのシェイクダウンから始まり、これまでモスト、ラウジッツリンク、ムジェロ、バルセロナ、アラゴンといったヨーロッパのサーキットでより大規模なテストを行ってきた。

 こうしたテストは行ったものの、グエリエリは、セブリングというユニークな会場でのデビューにあたり「予測できることはあまりない」と述べた。

「チームはしばらくレースに出ていないんだ」とグエリエリ。

「彼らは新しいマシンを作った。小さなチームだが、みんな一生懸命働いている。彼らは、自分たちが持っているすべてのリソースを最大限に活用しようとしているよ」

「しかし、何日かテストをして、問題もあれば良いこともあった。僕らは良い点をキープし、課題を解決しようとしている」

「レース前にセブリングの公式テストで2日間を過ごすことは、僕らにとって最大のチャレンジだ。信頼性を確保し、できる限りの走りをすることが重要だ。あまり多くの問題に見舞われないことを願っているよ」

「もし問題が見つかったら、それを解決して走り続ける。その背景には、大きなモチベーションがあるんだ。予測できることはあまりないが、うまくいくことを願う」

2023年のWECでバイコレスが走らせるヴァンウォール・バンダーベル680

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