3月3日の「耳の日」に学びたい正しい耳掃除 専門医解説、綿棒やり過ぎは外耳炎リスクも

「耳掃除は基本しなくていい。やっても月に1~2回」と説明する岡本昌之医師=福井県永平寺町の福井大学医学部附属病院

 心地いいからと、ついついやってしまう耳掃除。しかし、基本的には不要。やっても月に1~2回で十分だ。やり過ぎると、耳の入り口から鼓膜までの「外耳道」に痛みやかゆみを引き起こすリスクがある。福井大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学の岡本昌之講師に正しい耳掃除のやり方などを聞いた。

 耳あかは、鼓膜や外耳道の古くなった皮膚がはがれ、皮脂腺や耳垢(じこう)腺からの分泌物などと混ざってできる。外国ではベタベタと湿ったタイプの人が多いが、日本人の8割は乾いたタイプ。どちらのタイプであっても、耳の自浄作用により自然に外側へ排出される。ただ、湿ったタイプや外耳道が狭い人、自浄作用の衰えた高齢者は耳あかがたまりやすいという。

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 綿棒でグリグリとやると、耳あかを外耳道の奥へと押し込んでしまい、詰まって難聴の原因となる「耳垢栓塞」を引き起こすこともある。また、外耳道の皮膚は非常に薄いため、さわり過ぎると皮膚がカサカサになる「外耳道湿疹」や赤く腫れる「外耳炎」を発症し、傷から細菌が入ると耳だれが出る。

 耳掃除をする場合は、耳の穴の入り口から1センチほどのところまでにとどめ、やわらかい綿棒でなぞるように優しく取っていく。痛みがあったらそれ以上奥に入れない。使う綿棒は細め、穴が狭い人や子どもはベビー綿棒がいい。子どもの耳掃除をする時は、耳を後ろ上に引っ張り、穴の中が見えやすくしてからするといい。突然動き出して、綿棒で鼓膜に穴を開けてしまうケースもあるので注意したい。

 耳掃除の頻度は月1~2回で十分だが、お風呂上がりなど、どうしても気になる場合は、耳の穴付近をティッシュなどで拭き取るといい。耳鼻科で耳掃除をしてもらうのもいい。定期的に耳掃除をしに来る人もいるといい、細い鉗子(かんし)や吸引器で耳あかを取っていく。保険も適用される。

 岡本医師は「耳あかが取れにくい時は無理に取ろうとせず、自然に排出されるのを待つか、耳鼻科を受診してほしい」と呼びかけていた。

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