燕市産業史料館(新潟県燕市)で漫画「クプルムの花嫁」の企画展が開催中、初日には作者namo氏も来場【動画あり】

燕市産業史料館(新潟県燕市)で3日から、同市を舞台にしたラブコメディ漫画「クプルムの花嫁」の、デジタル複製原画や作中に登場する鎚起銅器などを展示した企画展を開催している。初日には作品ファンをはじめ地元工場の職人、さらには作者のnamo氏が来場した。

「クプルムの花嫁」は、燕市をメインの舞台とした作品。同市の伝統工芸である鎚起銅器の職人「修(しゅう)」とその恋人である「しいな」の婚約生活を描く。漫画誌ハルタにて連載中で、2023年3月3日現在、単行本3巻まで発売中。

企画展「クプルムの花嫁のセカイ展」では、作品の名場面や燕市の街並み、伝統工芸の技術を描いたシーンを中心にデジタル複製原画を展示。さらに、作中で紹介された技法を用いた鎚起銅器の実物を並べるなど、地元の強みを活かした展示となった。

同館では常設で鎚起銅器の昔の作業場・道具、地元職人による逸品の展示、鎚目入れの体験なども行っており、作中の世界をより身近に感じることができる。

燕市産業史料館の学芸員、齋藤優介氏は「漫画だとパラパラと読み進めてしまうが、(デジタル複製原画だと)一つ一つが緻密に描かれていることに気がついてもらえる」と話す。「修」と「しいな」の表情豊かな様子や、丁寧に描写された職人の仕事場と新潟の風景にも注目だ。

そして齋藤氏は「実在の道具や店舗、風景が作品には出てきている。この作品はフィクションというよりも、現実世界と地続きになっているような感覚がある。この展示を見た上で燕の街を歩くと、主人公たちの気配が感じられると思う」と語った。

並ぶデジタル複製原画

主人公の修は、恋人のしいなのために鎚起銅器の「錦銅(赤)」の技術を追い求めている

初日3日には、開館直後から作品のファンが訪れていた。地元燕市の40歳代男性は「単行本や掲載雑誌よりも大きく印刷され、細かいところまで見ることができるのがうれしい」と話す。

鎚起銅器の老舗で、舞台のモデルの一つにもなった玉川堂の玉川基行代表取締役も観覧。作品の丁寧な描写に改めて感嘆した様子で「クプルムの花嫁は、(鎚起銅器の技術において)かなり専門的な部分にまで踏み込んでいる。漫画にしていただくことで、今までにない層の人たちにも知ってもらえるきっかけになれば」と話した。

さらに同日昼頃には作者のnamo氏も駆けつけた。展示を眺め「しっかりストーリーの文脈に沿って展示してもらって、感動している」と語った。そして展示の記念に、プロフィールのパネルへサインと「しいな」のイラストを描いた。

企画展の会期は4月16日まで。開館時間は9時から16時30分。入館料は、大人が400円で、小・中・高校生は100円。なお、市内の小中学生と付き添いの保護者1人はミュージアムパスポート持参で入館無料となる。

会期中の3月12日、26日、4月9日には、「クプルムの花嫁」で地域監修を務める株式会社MGNETの武田修美代表と、産業史料館の齋藤氏によるトークイベントが開催。4月9日には、再び作者のnamo氏が来県し、三者でのトークイベントとなる予定だ(各日14時から)。トークテーマについては、下記の燕市産業史料館のwebサイトを参照。

初日3日には作者のnamo氏が訪れ、紹介のパネルにサインを直筆した

デジタル複製原画と、その中に描かれている鎚起銅器の制作過程の再現

【関連リンク】
燕市産業史料館 「企画展「クプルムの花嫁のセカイ展」のご案内」

namo氏 Twitter

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