「被疑者ノート」警察官の検査は接見侵害 神奈川県に25万円賠償命令

横浜地裁

 警察署の留置場で、弁護人が男性容疑者に差し入れたノートの内容を署員が見て、容疑者に一部を削除させたのは、接見交通権や秘密交通権の侵害に当たるとして、神奈川県弁護士会の生江富広弁護士が県に350万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3日、横浜地裁(波多江真史裁判長)であった。同地裁は「効率的な接見を阻害した」と違法性を認め、県に対し25万円の支払いを命じた。 

 判決によると、元容疑者の男性は2021年5月、窃盗容疑で逮捕され、逗子署に勾留された。弁護人となった生江弁護士は取り調べ内容や疑問点、意見などを書き込める「被疑者ノート」を男性に差し入れた。

 男性は、面会時に着替えを認められなかったり面会を打ち切られたりしたとして署員の対応を不当と感じ、ノートに記述した。署員はその内容を見て、「取り調べ状況以外の内容は書けない」などと誤った説明をし、男性に黒塗りにするよう指示した。男性は拒否したが、再度指示され従った。

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