「日本のカッパドキア」活気戻る 吉見百穴、トルコ景勝掛けPR

埼玉県吉見町の横穴墓群「吉見百穴」=2月

 古墳時代末期に掘られた埼玉県吉見町の横穴墓群「吉見百穴」が観光客の人気を集めている。コロナ禍で訪問客数は一時落ち込んだが、2021年度は約6万人と以前の数字に戻りつつある。丘の斜面に無数の墓が並ぶ光景は壮観で、町は奇岩群で有名なトルコ中部の観光地になぞらえ「日本のカッパドキア」とPRに力を入れる。

 吉見町教委の太田賢一学芸員によると、吉見百穴は、当時の人々が数十~100年かけ、やや斜めの平行線上に並ぶよう横穴墓を増やしたと考えられている。

 横穴墓は計219基確認され、高さ約1メートル。中は2~3畳のスペースがあり、棺座と呼ばれるベッド状の台がいくつも設置されている。一つの穴に複数の死者を葬る「追葬」が行われていたという。大正時代に国の史跡に指定されており、一部は中に入って見学も可能。

 戦争遺跡としての顔もある。太平洋戦争中、航空機のエンジン部品を製造する工場が一帯に造られた。空襲を避けるためのトンネルが新たに掘られ、その際に横穴墓の一部が損壊されたという。

© 一般社団法人共同通信社