日本のJリーグは欧州トップクラブの「才能製造所」!海外紙が“輸出大国”化を分析

昨年末のワールドカップで2つの優勝経験国を撃破する偉業を成し遂げた日本代表。

そのメンバーは海外クラブでプレーする選手たちが大多数を占めた。

そうしたなか、『i newspaper』は、「いかにして日本のJ1リーグは欧州トップクラブの“才能の製造所”になったのか」という特集を組んだ。

「日本はインフラ投資の恩恵を受けている。テクニカルな選手がヨーロッパに点在し、日本代表も盛況だ。

18歳でバイエルンに引き抜かれた福井太智など、日本U-20代表にはレアル・マドリーやバルセロナに所属する選手たちがいる。

古橋亨梧や三笘薫が欧州で活躍しているほか、先週のドイツ・ブンデスリーガでは、先発した日本人選手の数はブラジルとスペイン勢の合計を上回る9人だった。

いまや日本代表はディアスポラだ。26人のW杯で国内組は4人だけ。2010年からの10年あまりで日本の“輸出革命”が起きた。

日本の近代スポーツ史において、唯一のプロスポーツだった野球は大企業がチームを所有することによって統治されていた。

1992年に発足したJリーグは、わずか10クラブ。設立当初は、ギャリ・リネカーやレオナルドなど、欧州や南米の老舗スターを集めて露出度を高めることが主な目的だった。

その目的は常に大きな拡大であった。日本の47都道府県にクラブを作ることを奨励し、野球のような企業保有への依存を減らし、完全なプロクラブは3部リーグで60チームにまで増えた。これはフランスよりも多い数だ。

サッカーは単なる戦略的な取り組みではなく、地域社会がクラブと結び付き、新しい文化遺産を創造している。

当然ながら、日本の輸出革命は急速な投資によって成り立っている。

JFAは2050年までにワールドカップで優勝することを公言した(1992年にJリーグが発足した当時は、100年単位の目標だった)。

そのためには、国内リーグの質を急速に向上させ、才能ある選手を集めるだけでなく、育成にも非常に効果的である必要があった」

「JFAとJ1は、都道府県、協会、クラブ、コーチ、大学、学校を共通の利益のために結びつけた。

日本には「イキガイ(生きがい)」という概念がある。これは、ある目的から意味や充実感を得ることを意味する。日本代表はその "生きがい "だった。

2019年にJリーグの大矢丈之氏は「AFCチャンピオンズリーグを連覇したクラブがあるなど、今や我々はアジアのトップリーグだと思う」と述べた。評価次第では、当時も現在も彼は正しいだろう。

UAEやカタール、中国、サウジアラビアと違うのは、日本が単なる老人ホームではなく、才能の育成所を目指していることだ。

その目的は規制によって管理されている。現在、すべてのクラブは、少なくともU-15とU-18のチームを持つ独自のアカデミーを運営することが義務付けられている。

各チームに所属する外国人選手の数にも制限がある。トップチームのスタメンには、少なくとも2人のホームグロウン選手と1人の21歳以下選手が含まれていなければならない。

日本社会では年功序列が根強く、若手の進路が阻まれることが多かったが、それも変わってきた。

クラブはアカデミーの卒業生を育成し、プレーさせることでも報酬を得られる。移籍が早ければ早いほど、異なるサッカー文化のなかでより多くの成長を遂げることができ、代役となる別の若手選手への余地ができる。

輩出される選手の数と同じくらい重要なのは、そのスタイルと個性だ。

日本人(そしてアジア人選手全般)は、勤勉でチームプレーヤーではあるが、センスやフィジカルに欠けるというステレオタイプなイメージを持たれてきた。例外的な選手は日本代表のプランに必ずしも合致しない傾向があった。

だが、2016年にJFAは『プロジェクトDNA』を立ち上げた。これは既存のトレーニング方法を調整および修正して、よりバランスの取れた選手を育成することを目的としたイニシアチブだ。

彼らはプレミアリーグのクラブを含むヨーロッパのクラブにコーチを派遣した。彼らは勉強し、いいとこどりをし、島国根性で支配してはならないと誓った。日本だけでは決して足りないからだ。

大事なものを無用なものと一緒には捨てられない。

いまだにコーチやスカウトは、多くの日本人選手には向上心やテクニックを改善することへの専念、指導にとても感謝するというメンタリティがあると主張している。ただ、プレースタイルという点では、相当な変化がある」

「ブライトンの三笘、フランクフルトの鎌田大地、レアル・ソシエダの久保建英など、最近成功している日本の“輸出品”は、楽しく、予測不可能で、エキサイティングな攻撃的選手だ。

『Guardian』などのアジアサッカー特派員であるジョン・ダーデン氏はこう述べている。

『最近、才能・センスがより強調されるようになった。これはサッカーのグローバル化がもたらした有機的なものだ。20~30年前と比べ、日本の子供たちは毎日、世界最高で最もエキサイティングな選手たちを見ることができるようになった。コーチたちも、日本にはテクニカルなMFやダイナミックなSBは有り余っているので、少し違う何かが必要だと認識していた。三笘らの成功は最高レベルでエキサイティングに輝けることを示すものであり、さらなる後押しになるだろう』。

彼の指摘は、この戦略の最も興味深い側面を示唆している。それは、自己達成だ。

森保一監督が、海外に拠点を置く30歳以下の選手だけで日本代表を構成することができるほど変化のスピードは速くなっている。ビッグクラブも日本へのスカウティングもより強めている。

要点はこうだ。育成に重点を置くことで、より完成された選手が生まれ、より完成された選手が生まれることで輸出が増え、輸出が成功することで関心が高まり(いまだに日本人選手は比較的安い)、関心が高まることでスカウティングが増え、スカウティングが増えることで育成意欲が高まり、育成意欲が高まることで育成に力を重点を置くようになる。これでサイクルの始まりに戻る。

そうしているうちに、日本代表は必然的にレベルアップしていくのだ。

カタールで日本代表がスペインとドイツを撃破したことは衝撃的だったかもしれない。

だが、番狂わせでさえ基礎の上にある。世界第3位の経済大国は、すでに有能なサッカーチームと有能なサッカーリーグを持っていたのだ。

ありえないほど大きな夢は往々にしてそうだが、一番になりたいという願望はどこか物足りなさを感じるかもしれない。

だが、日本サッカーは盛況だ。その証拠にヨーロッパのビッグリーグや最高のコンペティションを戦うビッグクラブを見ればわかる。彼らは自分たちはまだ始まったばかりだと信じている」

JFAが狙いをもって取り組んできたプロジェクトが好循環に結びついていると指摘だ。

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三笘らの活躍によって、日本人選手の海外での存在感はこれまで以上に強くなっているようだ。

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