サクラビールが生まれたビール工場跡の資料館「北九州市門司麦酒煉瓦館」【北九州市】

2020(令和2)年から復刻販売されたレトロなデザインのこのサクラビール。門司で誕生したビールだということを知っていますか?

サクラビールはここで誕生した!

JR門司駅からほど近い場所に位置する現在の門司赤煉瓦プレイスには、帝国麦酒として1913(大正2)年に創業した九州最大のビール工場がありました。社名変更などの歴史を経て、サッポロビールの九州工場として、大分県日田市に移動になる2000(平成12)年まで稼働していました。

復刻版として販売されている「サクラビール」は、かつての帝国麦酒から販売されていた、この地で生まれ、親しまれてきたビールなのです。

そして、そのビール工場の事務所棟だった建物が、ビールの歴史や貴重な資料を展示している「北九州市門司麦酒(ビール)煉瓦館」です。

建物も貴重な資料の一つ

正面に入口があるように見えますが、向かって右側から入ります。

官営八幡製鉄所で出た副産物で作られた鉱滓(こうさい)煉瓦を用いた建物のため茶褐色っぽく、ほかの赤煉瓦の建物とは色も雰囲気も違います。写真で見ると茶褐色に見えますが、実際に見ると、周りの赤煉瓦と比較してしまうためか、灰色に見えます。

鉱滓煉瓦で作られた建物で現存しているものは少ないため、建物も貴重な資料なのです。

資料の中には当時の美人画のポスターや、ビールの瓶など時代を感じさせるものばかり。ある程度の大人であれば、有名人の若かりし日のポスターが懐かしく感じることでしょう。

建物も迎賓館的な要素を取り入れており、各部屋に暖炉の跡が確認できます。

ビールの歴史だけでなく、建物の特徴にワクワクしながら見学できます。

ビールというと大人にしかわからないような気がしますが、誰も入れない残されたドアや各所に隠れた桜や星のマークを探すなど、子どもも楽しく探検できます。

また、古い建物ですが、EV(エレベーター)が増設されているため、車いすやベビーカーでも見学が可能です。

現在は交流の場としての役割も

建物の1階スペースは広く、市民ギャラリーとして活用されています。

手作り雑貨の販売や、古本市など毎週さまざまなイベントでにぎわっています。

醸造棟は年に2回だけの特別公開

隣にある赤煉瓦の醸造棟は現存している煉瓦造りの建物の中でも特に貴重な7階建てとなっています。

事務所棟であった現在の門司麦酒煉瓦館の2階からも残っているタンクなどが見えます。

その醸造棟の中からも事務所棟がみえます。

その醸造棟の特別公開は年に2回だけ。それも老朽化で一度に多くの人は入れないため、人数制限を行いながらの案内です。

ドイツの製法を学んだといわれ、ドイツ製の搾り機が残っています。こちらも現存しているものはもうないのではないかと言われる貴重なもの。床のタイルも1913(大正2)年当時のものです。

醸造棟の天井は波型になっています。この上には原料を保管しておく保管庫になっていて、重いものにも耐えられる構造にするための工夫だそうです。

醸造棟の方は工場そのままなので、階段の幅が狭かったり、足場が悪かったりするので、注意しながら進むように声掛けがあります。

こちらの醸造棟の特別公開は、赤煉瓦プレイスでのイベントに合わせて実施されます。

詳細は「北九州市門司麦酒煉瓦館」ホームページで見ることができます。

【北九州市門司麦酒煉瓦館】
■住所/北九州市門司区大里本町3-6-1
■開館時間/9:00~17:00(最終受付16:30)
■入館料/大人100円、小人50円
■休館日/年末年始
■駐車場/有料(門司赤煉瓦プレイス駐車場を利用)

※2023年3月4日現在の情報です

(ライター・にわかなみ)

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