笠岡市の救急艇が進水 7月運用へ 初導入、船内で救命処置可能に

進水する救急艇「みたけ」

 笠岡市が島しょ部の救急体制を強化するため、初めて導入する救急艇「みたけ」の進水式が4日、尾道市浦崎町で開かれた。医療機器を備え、船内での救命処置が可能となる。訓練を経て7月から運用を始める。

 現在、島しょ部の救急搬送は通報を受けた笠岡地区消防組合が民間の海上タクシーを手配し、患者を陸地部の港まで移送。救急隊員は船の到着まで患者と接触できず、救命処置を始めるまでの時間にロスが生じていた。

 みたけは全長18.8メートル、幅4メートル、総トン数19トン。揺れや騒音を抑える設計で、船体中央部に救急処置室を配置した。医療機関に容体データを送る機器や自動心肺蘇生装置などを取り付けた後、笠岡市に引き渡される。建造費は約2億3千万円。

 住吉港(同市笠岡)に停泊し、通報を受け救急隊員らを乗せて出動する。最大速力は30ノット(時速約55キロ)で、笠岡諸島南端の六島まで最短29分で到着できるという。

 式では関係者約60人が、海に滑り出す船に拍手を送り祝った。小林嘉文市長は「救命率の大幅な向上が期待できる。今後も住民が安心して島で暮らせる環境整備に努める」と話した。

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