<金口木舌>戦争を繰り返す星

 先日亡くなった漫画家・松本零士さんの代表作「銀河鉄道999」にライフルグレネードという星が登場する。その星では戦争が続いており、戦闘の様子を観光客に見せて収入を得ている

▼星の居住地は戦闘地域から離れた場所にあり、兵士の遺体は観光客の目の届かない場所に集める。戦争の現実は見えにくい。兵士たちは星の未来を変えようと立ち上がる

▼戦争で何度も悲劇を味わいながら、人々が争いをやめない星が実在する。大国は和平の道筋を見いださず武器の供与で支援する。兵士だけではなく、多くの民間人も命を失う。私たちが住む地球だ

▼7歳で終戦を迎えた松本さんは平和への思いを強く訴えていたという。戦争の愚かさや命の尊さを伝える気持ちは作品にも込められる。現在の世界情勢をどんな思いで見つめていただろう

▼ライフルグレネードの兵士は惨状を前に「地獄」と表現した。激しい地上戦を経験し、語り継ぐ沖縄の人たちはその意味を知っている。全ての国が立ち上がらなければ世界から「地獄」はなくせない。

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