「強盗対策は空き巣対策の延長線上にあり」 “防犯伝道師” からの助言

各地で相次いだ広域強盗事件。去年1年間の刑法犯の認知件数は20年ぶりに増加し、治安の悪化を感じる人が増えています。

きょうのテーマは、「強盗対策は 空き巣対策の延長線上にあり! 『防犯伝道師』からの助言」

小林康秀 キャスター
警察庁のまとめによりますと、去年、刑法犯の認知件数は60万1389件でした。驚くことに20年ぶりに前の年を上回る数字となりました。こうした中、防犯グッズの売り上げに変化が起きているようです。

広島市安佐南区の西村ジョイ 八木店です。

訪れた人たち
「ニュースとかあるので、それがきっかけでつけてみようかなと」
「証拠が残るように。もし、悪い人の顔が映っていればという思いで」

この店では、カメラや鍵など防犯グッズの問い合わせが去年と比べ3倍に増えたそうです。

西村ジョイ 八木店 河田享一 マネージャー
「事件の報道があって不安だということで、特に高齢のお客さんを中心に増えている」

ことしに入って、手軽な価格の防犯対策グッズコーナーを新設しました。

河田享一 マネージャー
「お客さんに1か所で見てもらえるように窓用の補助錠、防犯性の高い二重鍵、音と光ということで防犯用のセンサーと簡単に取り付けられるようなセンサーライト。こちらは、防犯砂利。踏んだ瞬間に音が出ますので、そもそも窃盗犯が寄り付かない効果がある」

河田享一 マネージャー
「一番のおすすめは、こちらのカメラです。合計4台までカメラを増設できるタイプになっています」

室内に取り付けた4つのカメラの画像をスマホなどで屋外から監視できます。画像は、5メートル離れた名札の文字も識別できる鮮明度です。

最新の防犯グッズを探しに来ていた夫婦
「昔、住んでいたマンションで空き巣に入られたことがある。ガラスを割られて。そういうのがあってから補助キーをつけるようにはしたんですけど、それからは被害はない。安全をお金で買うような時代になったのかなというような気がします」

西村ジョイ 八木店 河田享一 マネージャー
「窓用の防犯対策の商品が一気に売れてしまって品薄になっているので、取り付けなども簡単な窓ロック、これだと値段もそこまで高くないので手頃なところで始められる対策だと思います。すぐできるところから、身近なところから対策していただけると効果が上がっていくと思います」

防犯機器の販売などを通じ防犯対策に取り組む「セキュリティハウス モリタカ」の 中島博文 社長は、これまで延べ3000人以上に防犯対策の講演をしてきた自称 “防犯伝道師” です。

空き巣などの窃盗犯は、家屋へ侵入する前に下見をすると話します。

モリタカ 中島博文 社長
「ゴミ置場でゴミが散らかっている町内に来ると、住民のモラル意識が低い、連帯感がない、監視されていないという状態を表してしまいます」

玄関も下見の対象になるといいます。

中島博文 社長
「その家の防犯意識を玄関で見るということなんです」

去年、広島県内での窃盗犯などの侵入方法はカギがかかっていない無締まりが45%、ガラス破りが22%となっています。侵入したのは、表の出入り口が35%、窓が34%です。

こうしたことから中島社長は、玄関の防犯対策の必要性を訴えます。

“防犯伝道師” の助言 ① ~ 玄関対策 ~

中島博文社長
「まずは、1ドア 2ロック。1つの扉に対して2つのカギを付ける」

ピッキング対策などで古いタイプのカギは交換した方がよいとのアドバイスも…。

中島博文 社長
「平成14年(2002年)に犯罪件数が一番高かったときにCP基準が作られたので20年前からお使いの方はカギを交換する時期」
( ※ CP基準=警察庁などが防犯機能が高いと認定)

中島博文 社長
「インターホンは、カメラがついたものを取り付ける」

カメラの存在は、犯罪の抑制にもつながり、証拠機能としても役立ちます。

“防犯伝道師” の助言 ② ~ 侵入を防げ ~

窃盗犯などが侵入するときに嫌がるのは、▽人目に付くこと、▽警報音など大きな音、▽明るく照らされること、▽侵入に5分以上かかることの4点だといいます。

“防犯伝道師” の助言 ③ ~ 防犯ガラス ~

モリタカ 中島博文 社長
「防犯ガラスは硬いわけではなくて、2枚のガラスの間に柔らかいフィルムが入っている。これはハンマーでたたいたあとだが、手が入るだけの穴がなかなか開かないという構造になっています」

一般的なガラスは、ハンマーやバールを使うと一撃で穴が開きますが、この防犯ガラスは、実験で10分以上かかったといいます。

中島博文 社長
「5分で6割、10分で9割の泥棒があきらめてしまうというデータも出ています。このガラスで5分、あるいは10分持ちこたえるという状態を作っていただきたい」

“防犯伝道師” の助言 ④ ~ 強盗対策は ~

モリタカ 中島博文 社長
「強盗対策は難しいが、ただ空き巣対策の延長線上に強盗対策があると考えるので、まずは家に入られない、狙われない防犯対策を施すことで空き巣対策につながり、そして強盗対策につながっていくと考えています」

小林康秀 キャスター
防犯ガラスは、メーカーでも欠品状態で1~2か月待ち。1平方メートル当たり2万円。代わりにガラスに張り付ける防犯フィルムもあります。値段も数千円ですが、2~3年で張り替える必要があります。安全をお金で買うというと世知辛い気持ちになりますが、自宅への侵入を防ぐための最低限の自衛策は必要なのではないでしょうか。

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