広島名物といったら何を思い浮かべますか?
やはり「お好み焼」ではないでしょうか。
とはいえ、「広島お好み焼」は広島市の名物。
同じ県内といえども福山からは遠く離れているうえ、文化が違いますよね。
でも、福山で本場と同じ本格的な広島お好み焼を食べられる店があるのです。
そのお店の名前は「はっせい船町店。(以下 はっせい)」。
はっせいは広島市内の人気店で修業を積み、福山でのれん分けした広島お好み焼と鉄板焼の店です。
本場のお好み焼が福山で楽しめる「はっせい船町店。」の、こだわりや魅力を探っていきましょう。
「はっせい船町店。」は本場・広島で修業したお好み焼が楽しめる店
はっせいは、福山市中心部、JR福山駅の南東にあるJOY船町(ジョイ ふなまち)商店街にあるお好み焼・鉄板焼の店です。
広島市内にある人気のお好み焼店「八誠 (はっせい)」で修業したオーナーが、独立・のれん分けしてJOY船町で開きました。
お好み焼店は、目の前で調理風景を見られるのが醍醐味です。
鉄板前のカウンター席は、相撲の「砂かぶり」のような特等席。
ぜひカウンターで、調理のライブ感を楽しんでみてください。
テーブルにはいずれも鉄板が据え付けられていて、鉄板上の熱々のお好み焼や鉄板料理を直に食べられます。
店員の威勢や気配りもよく、昔ながらのお好み焼店のような風情があるのがはっせいの特徴です。
広島お好み焼のほか、焼そば・鉄板料理もラインナップ
2023年(令和5年)3月時点の情報。価格は消費税込。注文金額のほかに、サービス料(税別注文総額の5%)あり。
さきほど紹介したとおり、はっせいのオーナーは広島市内のお好み焼の名店で修業しました。
そのためはっせいで食べられるお好み焼は、広島お好み焼です。
薄めの生地の上にキャベツやモヤシ・天カス・肉・などを重ねていき、具材を蒸し上げます。そして、そば(中華麺)や玉子をを重ねていくスタイルです。
そして、はっせいのお好み焼・焼そばの最大のこだわりは麺!
はっせいのお好み焼のこだわりについては、店長へのインタビューで詳しく語ってもらいましたので、読んでみてください。
基本の「肉玉そば」に、おすすめの組み合わせのトッピングを入れたお好み焼が数種類ラインナップ。
はっせいでは、お好み焼のほかに焼そばも数種類そろっています。
はっせいは、鉄板焼メニューも充実。
お好み焼ができ上がるまでの間に軽く食べたり、鉄板焼をつまみながらチョイ飲みして最後にお好み焼・焼そばで締めたりするのもおすすめです。
そのほか、宴会向けのコースもあります。
「はっせい船町店。」の人気・おすすめメニュー
どれもおいしそうな、はっせいのお好み焼や焼そば・鉄板焼。
たくさんあるメニューのなかから、店長・河田さんのおすすめを紹介します。
「大葉焼」は刻み大葉の香りとトロリとしたチーズの組み合わせが絶妙
「大葉焼 (おおばやき)」(1,331円)は、基本となる「肉玉そば」に大葉・イカ・チーズの具材を追加したものです。
はっせいのお好み焼は迫力満点。
とても厚みのある、ボリューミーな見た目です。
タップリのキャベツやモヤシ・そばに加え、トロリとしたチーズの存在感が気になります。
大葉焼を食べると、生地の香ばしさにソースの甘めの味わい、玉子のフワッとした食感と香ばしさ、キャベツやモヤシのシンナリ感と甘み、肉のうまみと香ばしさが。
さらに生麺ならではのモチッとしたそば食感も加わります。
そこへ、大葉のさわやかな風味がアクセントに。
刻んでいるため大葉の風味がよく香り、食べやすくなっています。
「スタミナ焼」はキムチ入りで、ネギ+目玉焼が載ってインパクト大
「スタミナ焼」(1,331円)は、基本の「肉玉そば」にキムチを入れ、さらにお好み焼の上から目玉焼きと刻みネギをかけています。
「肉玉そば」では潰して焼いた玉子が入り、スタミナ焼ではさらに上へ目玉焼が載るので、玉子好きにはたまらないのではないでしょうか。
生地の香ばしさに、キャベツやモヤシのシンナリ感とやさしい甘み・みずみずしさ 、玉子のフンワリ感と香ばしさ、生麺のモチモチとした食感が混じり合います。
そこへキムチの甘酸っぱさとほのかな甘み、シャッキリとした歯ごたえ。
さらにオリジナルソースの甘みが絡みます。
なお、キムチはそれほど辛くありません。
上の目玉焼をつぶすと、半熟の黄身がトロリと流れ出てきます。
そこにネギのシャキシャキとした食感が加わってきました。
鉄板焼も外せない!
はっせい一番のおすすめはもちろんお好み焼ですが、たくさんラインナップする鉄板焼もぜひ食べてほしいです。
おすすめの鉄板焼を紹介しましょう。
「鶏ももステーキ」はその日の朝にさばいた鶏肉を使用
「鶏ももステーキ」(1,057円)は、鉄板料理のなかで一番人気のメニュー。
鶏モモ肉は、その日の朝にさばいた「朝びき」と呼ばれる鶏肉を取り寄せて使っています。
これは、近隣に鶏肉の産地がある福山の強みです。
朝びきの鶏モモ肉をややレア気味に焼き上げて、ガーリックパウダーを利かせています。
朝びきなので、プニプニとした弾力のある柔らかな肉です。
そして表面の皮は、カリッカリで香ばしい。
なお鶏ももステーキは朝びき肉であるため、売り切れしだい終了です。
「和牛ぷるぷるホルモン」は仙台から取り寄せたホルモンがポイント
「和牛ぷるぷるホルモン」(1,078円)も人気のメニューです。
名前のとおり、プルプルッとした弾力ある食感のホルモンを焼いたもの。
仙台市から取り寄せたホルモンを使った、こだわりの一品です。
ぷるぷるホルモンは、塩ダレ味と自家製味噌ダレ味が選べます。
弾力のある食感、ホルモン特有のコクのある甘さと、味噌ダレのコッテリめの甘さや塩味がよく合います。
「とんぺい焼」はファンの多い定番メニュー
「とんぺい焼」(660円)は、ぜひ食べてもらいたいメニューです。
お好み焼・鉄板焼の店では、とんぺい焼は定番のメニューのひとつ。
そのため、根強いファンが多いのです。
とんぺい焼は、タップリのキャベツ・ネギとコンガリ焼いた豚バラ肉、トロトロの半熟の玉子を焼いて重ねた料理。
はっせいのとんぺい焼は、さらに上からオリジナルのカレーソースをかけます。
カレーソースは甘みとスパイシーさがあり、ほどよい味わいです。
さらにチーズトッピングのとんぺい焼(715円)もあります。
日本酒・焼酎・梅酒など酒類も充実
はっせいは、酒類をはじめとしたドリンクが充実しています。
なかでも焼酎や梅酒は、たくさんの種類をラインナップ。
日本酒は、メニュー以外にもたくさんの種類があります。
酒類について気になるかたは、店員に聞いてみましょう。
広島の名店・八誠で修業し、本場直伝の広島のお好み焼が味わえる「はっせい船町店。」。
店長の河田 賢治 (かわた けんじ)さんへインタビューをしました。
インタビューを読む
「はっせい船町店。」の店長・河田賢治さんへインタビュー
広島の名店・八誠で修業し、本場直伝の広島のお好み焼が味わえる「はっせい船町店。」。
店長の河田 賢治 (かわた けんじ)さんへインタビューをし、開業の経緯や入社の理由、お好み焼の魅力やこだわりなどについて話を聞きました。
インタビューは2021年1月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
笠岡出身のオーナーが一念発起。広島の人気店で修業
──開業の経緯を教えてほしい。
河田 (敬称略)──
当店は、大将(オーナー)が開業しました。
大将は笠岡出身で、福山で仕事をしていました。
やがて、新たにお好み焼店に挑戦することを決めたんです。
そして知人から広島市の「八誠 (はっせい)」という店を紹介され、そこでお好み焼の修業をしました。
ちなみに八誠は、広島市の老舗お好み焼店・八昌 (はっしょう)の流れをくむ人気店です。
その後、2008年(平成20年)6月に独立・のれん分けし、福山の現在地に「はっせい船町。」を開業しました。
なので、店名の「はっせい」は修業先の八誠からいただいています。
2019年(令和元年)9月には新たなコンセプトの姉妹店を出し、あわせて当店の店名を「はっせい船町店。」に改めました。
小学生のときから飲食店で働くのが夢。はっせいでお好み焼に魅了される
──河田店長が「はっせい船町店。」で働くようになったのは?
河田──
私は小学生のころから家庭の食事をつくったりしていて、ずっと将来は飲食関係の仕事をしたいと思っていたんです。
学生時代には学業のかたわら、3〜4くらい飲食店のアルバイトを掛け持ちしていました。
ラーメン屋や焼肉屋・寿司屋などさまざまな店を経験しながら、将来はどんな分野の飲食店で働こうかを考えていたんです。
あるとき「はっせい船町。」に食べに来ることがありました。
そこでお好み焼とお好み焼店の魅力に気付き、お好み焼店をやりたいと決断したんです。
後日、「はっせい船町。」でお好み焼の勉強をさせてほしいと願い出ました。
お好み焼の修業をするつもりでしたが、「はっせい船町。」の従業員として働くことになり、姉妹店の開業を機に船町店の店長を任されることになったんです。
お好み焼店の魅力は昔の飲食店らしい店とお客様との距離の近さ
──なぜお好み焼店に魅力を感じた?
河田──
ひとつは、お好み焼はシンプルだけど奥が深い点。
ほかに味の面以外で、店の雰囲気に魅力を感じました。
お好み焼店は、店側とお客様との距離感が近いと思うんです。
とくにカウンターの鉄板越しの会話などが楽しいと感じていますね。
昔は、飲食店ではこのような雰囲気の店が多かったと聞いたことがあります。
お好み焼店は、昔ながらの店とお客様の関係性が今も続いているんだと思いますね。
ですから、当店では接客に力を入れています。
「はっせい船町店。」のお好み焼のポイントは生麺と寒玉キャベツ
──「はっせい船町店。」のお好み焼のポイントは?
河田──
当店のポイントは、広島の店で修業したので、本場・広島の味が福山で楽しめるという点ですね。
お好み焼を食べたときの素材全体のバランスを考えていますが、なかでもお好み焼の重要な要素である麺とキャベツ、卵、ソースにはとくにこだわっています。
麺は、広島市の製麺会社「磯野製麺」のものです。
大将が「磯野製麺の麺がおいしいからこそ、お好み焼店を始めようと思った」と語るほどです。
この磯野製麺の生麺を茹で、茹で上がりをすぐに焼いて、お好み焼に入れているんですよ。
福山ではお好み焼に生麺を使っている店は少なく、当店のお好み焼のポイントになっています。
生麺を使うと麺の風味・うまみがしっかりと味わえ、麺のモッチリ感が増すんですよ。
あとは、自分でおいしいと思う茹で加減・麺の固さに調整できるのも大きなメリットです。
袋入りの麺だと、麺の固さは決まっていますので。
──キャベツや卵については?
河田──
当店のキャベツはいわゆる「寒玉(かんだま)」のみを使っています。
寒玉は葉が厚くてシャキシャキとしていて甘みもあり、当店のお好み焼に合うんです。
春キャベツだと水分が多めなので、当店向きではないんですよ。
ただ地元や周辺地域での栽培ものにこだわると、寒玉キャベツは年中手に入りません。
春キャベツなどに変えるしかないですよね。
当店では寒玉キャベツにこだわっているので、それぞれの時季で寒玉キャベツを生産している地域から取り寄せているんですよ。
あと卵は、笠岡市の「うねめファーム」のものを使っています。
焼いたときの弾力が違いますし、黄身の膨らみもすごいんです。
卵の風味・うまみも濃厚ですよ。
──ソースについてのこだわりは。
河田──
当店では、店のオリジナルのソースを使っています。
以前は、複数のメーカーのソースを当店で独自の配分でブレンドして使っていました。
いっぽうお客様から、自宅でも当店のソースを使ってみたいとの要望を多くいただいていたんです。
そこで持ち帰り用のソース販売ができるよう、オリジナルソースをつくることになりました。
あるソースメーカーに当店のソースのレシピを送りつくってもらったんですが、これが大変でした(笑)。
今までは複数のメーカーのソースですが、ソースメーカーにお願いする以上、そのメーカーのソースしか使えませんよね。
だから、当店の味の再現に時間がかかりました。
試作品を何度も味見をして、調整をしてもらいましたね。
一日にたくさんの量のソースを飲んだのは、初めてです(笑)。
しかも毎日。
そして2020年(令和2年)にオリジナルソースが完成して店で使うようになり、販売も開始しました。
当店のオリジナルソースは、ノンオイルでグルテンフリーなのでヘルシーなんです!
店の良いところを守りつつ、時代の変化に対応して新たな挑戦を
──今後の展望などがあれば、教えてほしい。
河田──
大将が開いた店を任されたので、今までの店の良いところを今後も守っていきます。
同時に、時代の変化に対応できるように新たなチャレンジもしていかないとダメと思うんです。
オリジナルソースの開発などもそうですよね。
良さを守りつつ、新たなチャレンジをしていくのが目標です。
「はっせい船町店。」で本場・広島のお好み焼に舌鼓
「はっせい船町店。」は、本場・広島の名店で修業した本格的な広島お好み焼が、福山の地で味わえるのが最大の魅力。
また河田店長をはじめ、店員のかたの気さくな人柄にも惹かれます。
インタビューでも語っていたように、昔ながらの飲食店のような店とお客の距離が近い、楽しい雰囲気も「はっせい船町店。」の魅力だと感じました。
仕事帰りにチョイ飲みしながら、夕食に本場・広島のお好み焼はいかがでしょうか。