
熊本県の阿蘇神社は5日、熊本地震で被災し復旧工事が進む楼門の一般見学会を始めた。12日まで。楼門全体を覆う素屋根内部で、地上約12メートルから楼門を間近で見ることができ、復旧を待ち望む参拝客らでにぎわった。
熊本地震で被災した同神社の国指定重要文化財6棟の復旧工事は、楼門を残すのみ。同神社が色鮮やかに輝く銅板ぶきの屋根や、波や雲が繊細に彫られた妻飾りの彫刻を間近で見てもらおうと、素屋根の解体工事までの期間に企画した。

見学会は無料で、午前9時半から午後4時半まで。素屋根内の1階は自由に見学できる。1~3階は、当日に申し込みが必要で、10分ごとに12人を地元ガイドらが案内し、各日約450人を受け入れる計画だ。写真撮影は、コース上の指定ポイントのみ。
夫婦で訪れた熊本市南区の会社員の男性(51)は「近くで見るとより木材の組み合わせの精密さを感じる。素屋根が撤去された楼門も楽しみに待ちたい」と話した。
同神社の阿蘇惟邑宮司(34)は「ようやく楼門本来の姿が見えてきた。多くの人に親しんでほしい」と話した。現在、楼門工事の進ちょく率は事業費ベースで9割。年内の完成を予定している。(小田喜一)