レッドブル&HRC密着:アストンマーティンの速さにも焦らず。ポール争いを見据えたタイヤの使い方に見えた自信

 F1第1戦バーレーンGP金曜日のフリー走行2回目でトップの座をアストンマーティンのフェルナンド・アロンソが奪ったとき、世界中から集まった記者たちがいるメディアセンターがざわついた。

 この結果を受け、セッション終了後のパドックでは、アロンソとアストンマーティンに注目が集まっていた。土曜日の予選でアロンソがポールポジションを獲得すれば、2012年のドイツGP以来11年ぶり、アストンマーティンにとっては初となり、前身のレーシングポイント時代の2020年トルコGP(ランス・ストロール)以来3年ぶりのポールポジションとなるからだ。

 しかし、そのフリー走行2回目に何度かピットレーンに足を運んで取材していた筆者は、レッドブル陣営が非常にリラックスしていた様子を見た。特に印象的だったのは、普段はほとんど表情を変えないエイドリアン・ニューウェイ(チーフテクニカルオフィサー)が、チーム内の無線を聞きながら、チームスタッフとともに笑っていたことだった。

スタッフらとともに笑顔を見せたチーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューウェイ

 そこには、アロンソにトップタイムの座を奪われて焦っている様子は感じられなかった。

 それはトップの座をアロンソから奪い返せなかった土曜日のフリー走行3回目が終了した後も変わりはなかった。

FP3を2番手で終えたフェルスタッペン

 周囲が思うほどレッドブルに焦りがなかったことは、予選でのタイヤの使い方を見てもわかる。ほとんどのドライバーが新品のソフトタイヤを4セット残して、予選に臨んだ。自分たちにポールポジションを狙える自信があれば、Q3用に新品を2セット保持しておきたいため、Q1とQ2はそれぞれ1セットずつしか新品は投入しない。バーレーン・インターナショナル・サーキットは普段レースが行われておらず、周囲が乾燥地帯でもあるため、路面の改善しろが大きいからだ。

 Q1でもトップタイムをマークしたアロンソがQ2で2セットの新品を投入したのに対して、レッドブルのふたりはQ1とQ2をそれぞれ1セットずつで難なく通過していた。

 Q2を終えて、新品のソフトタイヤを2セット残していたのはレッドブルとフェラーリだけ。ポールポジション争いは、この2チームに絞られた。さらにフェラーリは予選ポジションよりも、日曜日のレース用に新品のソフトタイヤを1セット温存することを選択し、シャルル・ルクレールの2回目のアタックを中止した。

 こうしてQ3の1回目のアタックでマックス・フェルスタッペンが暫定ポールポジションに立ち、チームメイトのセルジオ・ペレスが3番手につけていたレッドブルは、2回目のアタックでフロントロウを独占することに成功した。

 プレシーズンテストで最も速かったレッドブルの実力は、開幕戦でも決して揺らいではいなかった。

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