〈解説〉欧米や新興国で”億”単位ダウンロード…ハイパーカジュアルゲームが牽引しカヤックが2年連続日本1位に

モバイル市場調査会社のdata.aiが発表した「2022年の世界のアプリダウンロード数ランキング」にてハイパーカジュアルゲームの開発を行うカヤックが名だたる有名企業を差し置いて、2年連続国内一位にランクインしたことが先月発表された。

Photo by Onur Binay(unsplash)

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カヤックによると、同社は2019年よりハイパーカジュアルゲームの企画開発に注力しており、2023年1月までに、計15作品をリリースし、2022年8月には11タイトル累計で5億ダウンロードを突破するなど、同社のゲームアプリの成長を牽引してるという。

「ハイパーカジュアルゲーム」とは、簡単で直感的なルールや操作性を持ち、短時間で遊べるゲームのことを指す場合が多く、通勤や移動中の空き時間などにプレイすることができる点が魅力的とされている。これらのゲームは、簡単なルールと直感的な操作性を持ち、プレイヤーがゲームの目的や目標を理解するために必要な言語的な知識が比較的少ないことで言語障壁を生まないことが特徴的で、人口の多い新興国地域にて多くダウンロードされている。

実際、カヤックのハイパーカジュアルゲーム事業では、2022年のダウンロード数のうち99%以上・売上の90%以上が日本国外という内訳になっており、売上上位はアメリカ、イギリス、韓国、カナダなど先進諸国が占めているものの、ダウンロード数ではインド、ブラジル、インドネシア、ベトナムなどの新興国の割合が多いという。例を挙げると「Park Master」というアプリはAndroidだけで1億DLを突破している。

ハイパーカジュアルゲームは無料プレイを原則としているため、主に広告収益に依存する収益構造となっている。具体的には、ハイパーカジュアルゲームのプレイヤーは、ゲームプレイ中に広告を表示することで、追加のボーナス、ゲームアイテム、または次のステージへのアクセスなどを得るというもの。

一般的なアプリ内課金ベースのスマートフォンゲームと比べてユーザー単価は高くないものの、前述の言語障壁の無さが起因して世界中のユーザーにプレイされるため、ユーザー獲得に成功すれば非常に高い収益を生み出す可能性があるとして、「ハイパーカジュアルゲーム」事業に参入する日本のゲームパブリッシャーも少なくない。

例えばニコニコ動画の運営を行うKADOKAWAグループのドワンゴもハイパーカジュアルゲームの提供を行っており、日本ではほとんど知名度はないもののGoogle Payストアでは50000万ダウンロード超えのタイトルが複数存在する。ほかにもLINE社では”プレイするとLINEポイントプレゼント”といった自社経済圏への囲い込みに活用する取り組みも見られた。

また、ハイパーカジュアルとまではいかないものの、直近ではゲームパブリッシャー大手のKLabグループが『ぐでたま』の新作カジュアルゲーム「ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~」を昨年リリースしており、IP資産との融合といった日本ならではの動きも注目される。

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