「遠い入道雲」佐伯さんを表彰 木山捷平文学選奨・短編小説賞

小林市長(左)から表彰される佐伯さん

 全国の新人作家を対象にした「第18回木山捷平文学選奨・短編小説賞」(笠岡市など主催)の表彰式が5日、同市内であり、「遠い入道雲」で受賞した大阪府富田林市、主婦佐伯厚子さん(66)をたたえた。

 小林嘉文市長が特産の北木石で作った賞状や副賞50万円を贈呈した。佐伯さんは「うれしさで頭がいっぱい。これからは日々の生活に根差した作品を書き続けたい」と述べた。

 作品は太平洋戦争のビルマ(現ミャンマー)戦線で兄を亡くした実母の体験から着想を得た。高齢女性が内戦で兄弟の安否が分からない同国の若者と出会い、心を揺り動かされる模様を描いている。

 同文学選奨は笠岡市出身の詩人・小説家木山捷平(1904~68年)を顕彰し、2005年度に創設。短編小説賞には今回、222編の応募があった。

 5日は市民らを対象にした随筆、詩、短歌、俳句、川柳部門の入賞・入選者の表彰も行われた。

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