1951年の表町 貴重カラー写真 米研究所が戦後撮影 岡山で特別展

1951年の表町商店街のカラー写真。復興を遂げた町と人々の活気が伝わる(衣川太一さん提供)

 戦後間もない1951、52年の岡山市の風景を収めた貴重なカラー写真が、岡山シティミュージアム(同市北区駅元町)で開催中の岡山大文明動態学研究所の特別展で公開されている。同時期に設置された米ミシガン大日本研究所岡山分室が撮影したもので、当時の岡山を捉えたカラー画像は極めて希少という。急速に復興する市中心部や、活気あふれる人々の姿を鮮明に写し出している。

 同分室は日本の地域社会や民族性を調査するため50~55年に活動し、写真は日本研究者のジョン・W・ホール室長が撮影した。そのカラースライドを、大阪府のフィルム資料研究家衣川太一さん(52)が2013年に入手。岡山大と共同で分析を進めている。全部で約1700枚あり、うち約200枚が岡山関係で、今回は8枚を展示した。

 表町商店街を撮った1枚には、新たに整備されたアーケード街に「モモタロヤ」「細謹舎」といった赤やピンクの看板がかかり、華やかなワンピースやスカート姿の女性が買い物を楽しんでいる。一帯は岡山空襲で焼け野原となっており、再建のスピードに驚かされる。

 焼け残った岡山駅舎は明るい白色に塗り直され、街中には爽やかな青色の路面電車が行き交う。一方で戦中の名残を感じるカーキ色の国民服を着た男性も見える。衣川さんは「白黒だと遠い昔のようだが、色がつくと一気に人々の息遣いが感じられる」と語る。

 復興期のカラー写真は連合国軍総司令部(GHQ)などが撮影したものがほとんどで、日本国内で普及するのは70年代ごろ。岡山県立記録資料館にも当時のカラー写真は見当たらない。文明動態学研究所と衣川さんは今後も分析を続け、「復興の軌跡や生活の実相を詳しく調べたい」とする。

 特別展「津島から世界へ、世界から津島へ」は19日まで、月曜休館。8日正午から、展示写真を解説するオンラインセミナーを開く。無料。受講希望者は7日正午までに同研究所ホームページから申し込む。

白い外観が目を引く岡山駅舎(左端の写真)などが写った8枚が展示されている

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