【角田裕毅F1第1戦分析】タイムロスがなくても逆転は困難だったレース終盤。DRSを使用しても差は縮まらず

 2023年F1第1戦バーレーンGPレース終盤の40周目、シャルル・ルクレール(フェラーリ)のマシンが止まってバーチャルセーフティカー(VSC)が出たタイミングで、アルファタウリは11番手を走行していた角田裕毅をピットに呼んだ。ピットストップロスは通常約23秒だが、VSCになると約15秒となる。かつ再スタート後のタイヤのアドバンテージを考えるとピットインするのは決して悪い選択ではなかった。

 しかし、ここで作戦にほころびが生じる。ピットストップでわずかに作業が遅れ、アルファタウリは静止時間4秒で角田をコースに送り出すことになってしまった。ピットレーンを出て、本コースに合流したとき、角田の前には、ピットインする前には後方にいたはずのチーム名とのニック・デ・フリースと周冠宇(アルファロメオ)がいた。

 ピットインせずにハードタイヤを履く2台を、ソフトタイヤに履き替えたばかりの角田は難なくオーバーテイクするが、ピットインする前に2秒以内にいた2台との差は、3秒以上に広がってしまった。

 もし、ピットストップでロスがなければ、レース終盤に10位の座を賭けて争ったアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)をもう少し早く射程圏内にとらえ、逆転していただろうか?

2023年F1第1戦バーレーンGP アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)&角田裕毅(アルファタウリ)

 しかし、角田はそれがなくても、ポイントは難しかったと言う。

「ウイリアムズはストレートで僕たちよりもかなり速かった。DRSを使用しても、差が詰めらなかった」

 つまり、コーナーで速いアルファタウリがウイリアムズとの差を詰めることはできても、どの道、抜くまでには至らなかったというわけだ。

 では、VSC時にピットインせずにステイアウトしていたら、どうなっていたのだろうか。チーフレースエンジニアのジョナサン・エドルズは、それでもポイントには届かなかっただろうと言う。

「それを我々はニック(・デ・フリース)のマシンでやったよ。でも、ソフトを履いたユウキに簡単にオーバーテイクされていたよね。もしユウキがステイアウトしていても、ピエール(・ガスリー/アルピーヌ)とアレックス(アレクサンダー・アルボン)にオーバーテイクされていたと思う」

 つまり、アルファタウリが今後、ポイントを獲得するためには、まずはAT04の戦闘力を上げることが最優先課題なのである。

2023年F1第1戦バーレーンGP 角田裕毅(アルファタウリ)
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