体力“見える化”へ世界初の新技術 ファンケルが実用化向け検証 医療やスポーツ、幅広い分野での応用期待

高額機器を使った従来の測定法を説明する阿部さん=横浜市戸塚区のファンケル総合研究所

 無添加化粧品メーカーのファンケル(横浜市中区)は、個人の最適な「運動強度」を簡便に測定できる新技術を開発した。高額な特殊機器を使うことなく、血液中の酸素飽和度を測ることで体力を“見える化”する世界初の技術といい、実用化に向けた検証が進められている。実用化されれば、医療からスポーツまで幅広い分野での応用が期待されるという。

 運動の効果が最も上がるのは、軽度の有酸素運動から強度の無酸素運動に切り替わり始める転換点の「中強度」。ただ、最適な運動強度は、その人の体力によって異なる。

 従来の測定は、運動中に吐く呼気に含まれる二酸化炭素(CO2)濃度を指標とし、測定に使う機器は1千万円以上必要とされる。高額で維持費もかかるため、設置場所は大きな病院や医療・体育会系の大学などに限られていた。

 新技術を開発したのは、柔道指導者から転身した同社ヘルステック事業開発タスクチームの研究者、阿部征次さん(46)。発想を転換し、CO2濃度ではなく、吸う酸素(O2)に着目したことが、50年ぶりの新技術につながった。

 新型コロナウイルス禍で使われる機会が増えた、血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーターを用いたもので、特許も取得。指先や腕などに装着するだけで「中強度」を測定できるようになれば、医療やスポーツ分野での応用の可能性が大きく広がるという。

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