ピュアな片想いにきゅんとする、住野よるの本『恋とそれとあと全部』

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『恋とそれとあと全部』

人気作家・住野よるの新刊、デビュー10作目となる記念の一冊です。夏休み、高校生の友だち同士の男子と女子が4日間の旅に出る。片想いの恋にときめく青春小説をどうぞ。

『恋とそれとあと全部』
著者:住野よる
出版社:文藝春秋

めえめえとサブレとかわいいあだ名で呼び合うのは、下宿仲間でクラスメイトの瀬戸洋平と鳩代司のふたり。めえめえはサブレに恋しているけれど、そんな素振りは誰にも見せない。学校でも下宿でも二人っきりでいることなんてふだんなら絶対無理。だけど、夏休みに偶然ばったり出会ったふたりは、サブレの誘いで4日間の旅に出ることに。

旅の目的はサブレ自身が「不謹慎」だというちょっと驚くようなことだった。それでも「じゃあ一緒に行く?」と言われて「うん」と即答しためえめえ。考えるより先に行動するめえめえといろいろ気にしすぎな性格のサブレの旅がはじまって……。「いいや、一緒にサブレがいてくれるんだから。それだけでいい。俺の片想いはそういうのだ」ピュアな気持ちがぐっときます。

愛嬌のある笑顔で、カラフルなファッションで、ピスタチオが好きで、なんでも深く考え込んで気にするサブレ。「サブレは自分で頭の中の荷物をどんどん増やしてしまう。自分自身だけでもそういう性分なんだ。なら当然、俺が余計なものは持たせるわけにはいかないだろ」そんな思いを抱くめいめいを通してサブレの人柄が見えてくると、世界がより鮮やかになるような感覚がします。

夜行バスではじまる旅は映画のシーンのようで、思いがけない何かが起こりそうな気配に満ちています。それは恋の予感だけじゃない。ふたりのストーリーだけでは終わらない物語が待っています。

忘れられない4日間の旅。今年夏が近づいたときにもう一度読みたい一冊です。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

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