空き家を駄菓子屋にリニューアル 子どもたちの「居場所」に 伊勢原の幼稚園が開店

楽しそうに駄菓子を選ぶ子どもたち(同園提供)

 伊勢原市板戸の「伊勢原八雲幼稚園」が譲り受けた空き家を活用して駄菓子屋をオープンした。同園の林田伸吾副園長(44)は「駄菓子屋での楽しい思い出は今も心に残る。園児や地域の子どもたちが集える新しい居場所になれば」と目を輝かせる。

 店は、駄菓子屋が舞台のアニメのタイトルをもじり「やくもどう」と名付けられ、2月15日にオープン。懐かしさを感じる駄菓子約75種類が陳列され、午後になると多くの子どもたちが小銭を握り締めて詰めかける。

◆美容院移転で計画

 内装は居心地の良い空間づくりを意識した。壁には保育で活用した紙芝居のかわいらしいイラストが張られ、値札には「先生のおすすめ!」などのポップも付いている。同園職員の母親で店番の「あーちゃん」さん(77)が笑顔で迎えてくれるのも魅力だ。

 空き家を譲り受けたのは昨年4月。同園隣の平屋で営業していた美容院が移転、家主より「有効活用してほしい」と打診があったという。最初は保護者のサポートを受けながら子どもが縫い物や料理などをする特別保育の場としての活用を考えたが、移動時のリスクなどを考慮し断念。

 林田副園長が同園の長塚千栄子理事長(65)と相談を重ねる中、周辺に子どもたちが集まるスポットがないこともあり、「地域の子どもたちの居場所をつくろう」との思いに至った。昨夏ごろから計画に着手した。

◆「笑顔見られうれしい」

 開店後には「小さい頃に食べたんだ」と親が子どもに話しかける姿や、初めての買い物を楽しむ子どもたちの姿が見られるなど好評だ。林田副園長は「子どもたちの笑顔が見られてうれしい。新型コロナウイルス禍明けには子どもたちがルールを守って食べたり遊べたりできるスペースづくりもしたい」と話す。

 今後は駄菓子の種類を増やしたり、地場産野菜を置いたりすることなども想定する。「人の近さが駄菓子屋の良さ。人と人がつながる場所になれるように長く続けたい」

 営業は当面、月・水・木・金曜日の午後1時45分~5時。問い合わせは同園電話0463(93)4950。

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