小室哲哉プロデュース最高の歌姫!朋ちゃんこと【華原朋美】の魅力を総ざらい  アルバム「LOVE BRACE」は一番クラシック要素に溢れたスケールの大きな世界感!

突然現れたシンデレラガール 華原朋美

1995年9月8日、「keep yourself alive」でデビューした華原朋美。当時、音楽業界を席巻した稀代のプロデューサー・小室哲哉に見いだされたシンデレラガール。ラグジュアリープランドの中でも上品でエレガントなプラダやグッチの洋服に身を包んだ、まだ少女のようなあどけなさが残る表情で小室に寄り添い微笑む姿が懐かしく思い出される。ビジュアルもルックもすべて楽曲のイメージにぴったりで、当時の女の子の憧れの存在でもあった。

矢継ぎ早に翌月にはセカンドシングル「I BELIEVE」をリリース。年末の最優秀新人賞を総なめにし、一躍歌姫の座を勝ち取る。デビュー曲に続き、強さと凜々しさが伝わってくる歌声がとにかくとても印象的だった。小室の独特な譜割りの細かさも、これでもかというほどのハイトーンも歌いこなすその歌声に多くの人が魅了された。

そしてサードシングル「I'm proud」。TM NETWORKのアルバムに参加したギタリストのマーティ・フリードマンは、この曲を聴いたときの印象を「どこかの国歌でもいいんじゃないか」と小室に話したのだとか。まさにこの曲は小室哲哉楽曲の中のアンセムなのだ。

クラシックの要素が溢れたデビューアルバム「LOVE BRACE」

続く4枚目「LOVE BRACE」では、さらに賛美歌のような要素が加味されてゆく。荘厳で、これはもうほとんどクラシックと言ってもいいだろう。

これらの曲が詰まった同タイトルのデビューアルバム『LOVE BRACE』をリリースした頃を振り返った小室は、

「この頃の自分の作曲ライブラリーはクラシック・ナンバーでした。特にバッハが多くブラームス、メンデルスゾーンあたりを参考していた」

ーー と語っている。何百という小室の作品の中で一番クラシック要素に溢れたスケールの大きな世界感を持ったアルバムであり、素晴らしい名盤だ。

そして、そんな小室に呼応するかのように、華原の歌声はどんどん成長を遂げていった。アルバム『LOVE BRACE』で聴かせた圧倒的で神聖な空気感をまとった華原の歌声の凄さ。新人シンガーがここまで歌い上げるということに心底驚いた。

どうしても華原朋美の音楽については、小室との関係性が取り上げられてしまい、正当な評価が受けられていないような気がしてならない。私は個人的には、たとえ2人の仲がどうなろうとも、華原朋美こそが小室哲哉プロデュースの最高の歌姫だと思っている。

華原朋美の魅力は「少年と少女が同居する」稀有な歌声

華原の歌声は、非常に不思議だ。「I'm proud」の歌詞に登場するような “甘いイチゴのよう” な甘えん坊さもあったり、「I BELIEVE」の “なまいきな態度もときにはUSE!” とクールに飛ばす表情があったり…。けれどそれは歌詞の主人公をその都度演じて使い分けて歌うのではない。華原の歌声がすべてを内包していることが何よりすごいのだ。まるで「少年と少女」が彼女の歌声に存在しているかのようで、そこが彼女の歌声の最大の魅力だと思っている。思春期の多感な頃のピュアなところ、向こう見ずなところも、すべて華原の歌声で表現できる。そんな稀有な歌声の持ち主だ。

“少女と少年が同居しているような独特な思春期の甘酸っぱくてせつなさを含んだ歌声”

ーー これが華原朋美の歌声の魅力であり、最大の武器だと感じる。声というものは持って生まれたものであり、トレーニングによってどうにかなるようなものではない。華原の歌声は神様からのプレゼントのようだ。

加えて華原はとにかく歌う時、一生懸命なのだ。ひたむきに歌うことは、もしかすると、大好きなパートナーの期待に答えたいという想いからくるものだったかもしれないが、とにかくいつも歌う時の彼女は前へ前へと、多くの人に届くように一生懸命に歌い上げる。それが聴く側にも伝播して、心に響いて感動を呼ぶのではないだろうか。そこがとてもけなげにも映って、リスナーの心を惹きつける。

豊かな表現力を身につけた「夢やぶれて -I DREAMED A DREAM-」

小室の手を離れ、紆余曲折、さまざまなことを経験しながら一歩ずつ歩いてきた華原朋美。2013年リリースのシングル「夢やぶれて -I DREAMED A DREAM-」は言わずと知れたミュージカルミュージカル『レ・ミゼラブル』の劇中曲だ。さらに表現力に磨きをかけ、新境地とも言える歌声を披露した。先日もYouTubeで藤澤ノリマサのピアノとコラボ動画を配信、包容力があって、ふくよかな慈愛に満ちた歌声は圧倒的だった。

最近になって、ファンの待望だった華原の小室楽曲がサブスクで聴けるようになった。これは本当に嬉しい! 小室哲哉が華原に残してくれた楽曲はどれも名曲揃いだし、セルフカバーを歌う華原の歌声も素晴らしい。さまざまな経験を経た今だからこそ、届けられる歌があり、歌声にも人生という深みが表われるのではないだろうか。ぜひ、数々の名曲をこれからも真っ直ぐに丁寧に歌い継いでいってほしい。それは華原朋美でなければできないことなのだから…。

カタリベ: 村上あやの

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