福井県勝山市が固定電話を原則廃止、全国自治体で初 部署への電話は担当職員全員のスマホに着信

スマートフォンで電話対応する勝山市職員。3月6日までに市の5施設の固定電話が原則廃止された=3月3日、福井県の勝山市体育館ジオアリーナ

 福井県勝山市はデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一環で、市役所庁舎など主要な市施設の固定電話を原則廃止し、職員のスマートフォンで対応するシステムを導入した。庁内の電話交換機もなくしクラウドサービス利用に切り替えた。市は「クラウド化して全庁的にスマホ対応にするのは全国自治体で初。市民サービスや災害時の対応力の向上につながる」としている。

 2022年度の一般会計当初予算に事業費1735万円を計上、対応を進めてきた。

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 固定電話の運用は市体育館ジオアリーナ、市福祉健康センターすこやか、市役所庁舎、市民会館、市教育会館の計約200台で3月6日までに順次取りやめた。会議室や宿直室などの11台は使用するが、残りは3月中に撤去する。

 新しい体制では職員一人一人に専用アプリ搭載のスマホを貸与するか、私用スマホに専用アプリをダウンロード。所属部署に電話がかかると、担当職員全員のスマホに着信が入る。スマホ同士で外線の転送、内線での会話もできる。

 市は「市民からの問い合わせ、相談への対応がスムーズにできる」と説明。固定電話では担当職員が外出などで不在の場合、いったん電話を切ってかけ直すなどしてきたが「不在の担当者のスマホにつなぎ、即座に対応できるようになった」としている。

 さらにクラウド利用に切り替えることで「災害で交換機が被災したら電話が使えなくなってしまうが、今後はインターネットさえつながれば電話が使用できる」とする。また搭載したアプリにはLINE(ライン)と同様の機能があり、職員同士でグループを設けて文章や写真をやりとりできるため「災害現場の写真などを即座に共有できる」と説明する。

 今後は「状況を見てさらに固定電話からスマホへの切り替えを進めたい」と強調。今回は対象となっていないまちづくり会館などでの導入なども進めていくとしている。

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