「園児に当たり強くなる」 佐世保市、保護者に発言 こども園の不適切保育疑いで

 長崎県佐世保市南部の認定こども園で不適切な保育が疑われている問題で、昨年4月に保護者が園児への暴力の事実確認をするよう同市に求めた際、市の担当者が「園から子どもや保護者への当たりが強くなるかもしれないが、それでも大丈夫か」といった趣旨の発言をしていたことが6日、分かった。市は不適切な発言と認め保護者に謝罪している。関係者によると、園は10日、保護者説明会を開く。
 複数の関係者や市によると、昨年4月、園児が牛乳をこぼしたとの理由で保育士にげんこつで頭をたたかれたと保護者が園に訴えた。園が事実関係を否定したため市に相談。市は当初、保護者の要望通り園児の名前を伏せて園に確認をしたが否定されたため、保護者が子どもの実名を挙げて具体的に再調査をするよう求めた。その際、市の担当者が園児に対する園の対応が硬化する可能性に言及したという。
 先月9日の保護者、園との話し合いで市は「(被害を訴えている)子どもが特定されると園に居づらくなる(ことを心配しての発言)」と釈明。別の園児の保護者が「そうならないようにするのが市の役割ではないか」と疑問を投げかけ、市は「言う必要がなかった。申し訳ない」と謝罪した。
 また熱中症警戒アラートが発令されていた昨年6月下旬、園児が脱水症状を示し夜間に救急外来を受診。このころ複数の保護者が「園でエアコン(冷房)が入っていない」として市に対応改善を要望した。うち1人は「園に連絡せず(エアコンが付いているか)確認に行ってほしい」と求めたが、市側は事前に電話で確認した後、園を訪問。温度調整は問題がないと判断したという。
 市は取材に「連絡しないよう求められた記憶はない。市役所から園まで30~40分かかるので、エアコンが入っていなければ(熱中症になるかもしれず)問題と思って先に電話で確認した」としている。


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