
熊本県益城町は6日、都市計画道路益城東西線の計画区域内に集合住宅の建築許可を申請した地権者と建設業者に、建設を中止させる損害賠償金として計3176万円を支払う方針を明らかにした。許可申請は都市計画決定後だったが、町は一定の要件を満たした建築許可申請として補償に応じた。
東西線は延長2320メートル。熊本地震で被災した市街地の幹線道路網整備の一環として、2018年に町が都市計画を決定した。地権者は3年後の21年4月、同町宮園の土地に集合住宅を建設する契約を業者と結び、町に建築許可を申請。町はその後、申請取り下げを依頼していた。
都市計画法では計画決定後でも、県の事業認可前であれば、2階建て以下の木造や鉄骨造など要件を満たした申請を受け付けなければならない。
町と地権者は、建設中止に伴う費用を町が負担する覚書を締結。地権者は別の土地に集合住宅を建設しており、賠償額には新たな工事の増額分も含む。町街路課は「集合住宅が建った後の補償額や交渉時間などを考慮すると、建設前に補償した方が良いと判断した」としている。
町は6日開会の町議会3月定例会に、損害賠償金を盛り込んだ22年度一般会計補正予算案を提出した。(河北英之)