「新年度はなぜ4月から?」「春はいつから?」専門家に聞いてみた【みんなのハテナ】

Park KSBアプリに皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」。今回は「春」に関するハテナです。

「年々春が短くなっている気がします。そもそも春とはいつからなのでしょうか?」こたろー(41) 玉野市

気象庁は、「春」「夏」「秋」「冬」をそれぞれ3カ月ごとに区切って定義していて、春は3月から5月です。この定義は、年ごとの気候の変化を比較しやすくするためのもので、「何℃以上になったら春」などの基準はありません。

では「体感」としての春はどうなのか……。岡山地方気象台に聞いてみました。

(岡山地方気象台/濱子訓志 地域防災係長)
「急に暖かくなって、急に暑くなる、極端に上下するっていうイメージですかね。原因としては地球温暖化の影響があるのかなと思います」

濱子さんによると、この時期は、高気圧と低気圧が交互に西から東へと通過することで天気が数日の周期で変わり、気温の変化が大きいという特徴があります。

この気温の変化に地球温暖化の影響が加わることで、「春が短くなった」と感じる人がいるのかもしれないということです。

(岡山地方気象台/濱子訓志 地域防災係長)
「特に去年の春についても西日本は気温が高くなりましたし、極端に気温が上下することによって『短くなったね』『もう暖かくなった』と思ってしまうということがあるのではないか」

「春一番の定義って何ですか?」グレース(60) 瀬戸内市

四国地方では2月19日に「春一番が吹いた」と発表がありました。

(岡山地方気象台/濱子訓志 地域防災係長)
「冬から春にかけて変わっていく、移行期というか変わる時期に初めて吹く南風、暖かい南寄りの風を春一番と呼んでおります」

「春一番」には、「時期」「気温」「風向き」「強さ」など、いろいろな基準があります。

中国地方の場合は、「立春から春分までの間」に「前日より気温が3℃ほど上昇」し、かつ、気温が10℃以上あること。最大風速10m以上の南よりの風が複数の県で観測されること。これらの基準をもとに、気象台は「春一番が吹いたかどうか」を判断します。

2023年、中国地方では春一番が発表されそうな日が2日あったそうですが、強い風を観測したのが1つの県だけだったため「春一番」とはなりませんでした。

春と言えば、各地の学校で卒業式・入学式が行われますが……。

「新年度はなぜ4月からなのでしょうか?」はな(57) 高松市

ちなみに世界に目をむけると、学校は秋に新年度が始まるのが主流です。

日本でも新型コロナが流行し始めた2020年に、授業日数の確保などの目的で一時「9月入学」が議論されました。

東京理科大学名誉教授で、憲法や法律に詳しい柏﨑敏義さんによると、日本の学校の年度が4月スタートなのは「国の会計年度に合わせたから」ということでした。

柏﨑さんによると、明治時代、日本は諸外国に負けないよう軍事費の増強を進めていました。しかし、財政的に追い込まれ、明治17年、1884年には、不足した財源を補うため、翌年分の税収を前借りしました。すると、翌年・1885年分の税収が少なくなってしまいます。

そこで国は、会計年度の時期を変更しました。当時、会計年度は7月スタートでしたが、1886年は4月スタートに変更しました。これによって、「1885年度」の期間を12カ月から9カ月に短くし、予算の帳尻を合わせました。その後、法律も整備され、国の会計年度は4月スタートになりました。

これに合わせて、学校や企業の年度も4月スタートが一般的になったということです。

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