AIアプリで認知機能推定、銀行で金融商品取引に活用 順天堂大学が産学連携でアプリ開発

順天堂大学とグローリー株式会社、日本IBMは認知機能を推定できるAI(人工知能)を金融商品取引業務に活用するアプリケーションを日本で初めて開発した。3月から三菱UFJ信託銀行でパイロット運用を始めており、今後他の金融機関での展開も検討する。

学校法人順天堂によると、開発したのは「金融商品適合性チェック支援AIアプリ」。タブレットで撮影した顧客の表情とAIとの会話内容から推定される認知機能を15段階で判定し、脳の健康度として提示する仕組みで、金融機関側はこの情報を基にして適切な金融商品を販売する。

認知機能を推定するAIは、累計600症例以上の認知症患者を診察してきた順天堂大学のデータを基に共同開発した。標準ツールはIBMのクラウド上で稼働するが、他クラウドへの導入もできる。パイロット運用では、同意してくれた顧客数十人を対象にこのAIアプリを実際に活用し、問題点や課題の発見、解決に努めている。

人生100年時代を迎え、歳を重ねても豊かな暮らしを送るため、資産形成の重要性が増しているが、金融業界では加齢とともに低下する認知機能に配慮した金融商品の販売が求められている。

現段階でデジタル技術によって認知機能を正確に判定する方法は確立していない。このため、順天堂大学などは認知機能を推定でき、参考情報として活用できるアプリを開発した。

参考:

【学校法人順天堂】脳の健康度に基づいた、日本初の「金融商品適合性チェック支援AIアプリ」を開発、三菱UFJ信託銀行にてパイロット運用を開始

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