【2023年】マツダ CX-60の悩ましいグレード選び! 価格や内装、燃費まで最新情報をお届け

マツダ CX-60は、2022年に発表されたまったく新しいSUVモデルです。CX-60は2022年からディーゼルのマイルドハイブリッドが販売されていますが、ノーマルタイプの3.3Lディーゼル、PHEV(充電の可能なハイブリッド)、2.5Lのノーマルエンジンは、すべて2023年に入って開始しました。今では4タイプのパワーユニットがすべて生産されています。そんなCX-60のグレード選びをカーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんに解説してもらいました。

マツダ CX-60 マツダ CX-60 PHEV プレミアムモダン

CX-60のおすすめポイント

・パワーユニットやグレードが豊富

・走行安定性が全般的に優れている

CX-60ののレビュー・評価

総合評価 3.5 ★★★★☆

CX-60の良かった点

・直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボは力強く吹き上がりも活発

・走行安定性が全般的に優れ、高速道路や峠道での危険回避性能も高い

CX-60の気になった点

・パワーユニットやグレードにより、乗り心地や内装の質が大きく異なる

・ボディは長いが、居住空間の広さはCX-5と同程度に留まる

CX-60の基本スペック・価格表

PHEVモデル用のエンジン, ディーゼル(XDモデルの)エンジン
PHEVモデル用のエンジン, ディーゼル(XDモデルの)エンジン

最近登場した新型車の中で、クルマ好きに注目される車種にマツダ CX-60があります。全長は4740mm、全幅は1890mmのLサイズSUVで、エンジンは直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボなどを搭載しています。

駆動方式は、後輪駆動の2WDと4WDで、従来の前輪駆動によるマツダ CX-5やマツダ CX-8とはプラットフォームが異なります。

CX-60はいろいろなメカニズムが新しく、後輪駆動のプラットフォームは、前後輪が負担する重量バランスも優れています。操舵は前輪、駆動は後輪と役割を分けるため、ステアリングの操舵感も上質です。走りにこだわるマツダらしさを感じます。

CX-60のボディサイズ

CX-60の燃費

CX-60の発売日と納期の目安

CX-60は2022年9月15日に、e-SKYACTIV Dモデルから販売をスタートしました。その他のモデルもすでに出揃っています。

CX-60は、新型車では納期が短いです。販売店によると「どのグレードでも、3か月半から4か月で納車できます」といいます。

今のSUVの納期を販売店に尋ねると、トヨタでは「ハリアーハイブリッドが約10か月で、受注を停止したグレードもあります」、ホンダでは「ZR-Vやヴェゼルのe:HEV(ハイブリッド)は約1年かかります」という具合ですから、CX-60は納期で有利です。

CX-60のおすすめグレード

XD・Lパッケージ・2WD

CX-60で一番買い得なグレードは、マイルドハイブリッドを備えない直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボを搭載するXD・Lパッケージ・2WDです。このグレードは、各種のメカニズムや装備に対して、価格を割安に抑えました。

マイルドハイブリッドを備えたディーゼルの価格は、同等の装備を採用したノーマルタイプのディーゼルに比べて、価格が実質的に約40万円高いです。

今のトヨタのフルハイブリッドは、ノーマルエンジンに比べて35万円の上乗せに設定することが多く、マイルドハイブリッドが40万円では割高です。

そこでノーマルタイプのディーゼルを選びますが、XDとXD・Sパッケージは避けた方が無難です。価格は安いですが、インパネが硬質の樹脂製になり、上級SUVのCX-60に相応しい内装ではありません。

その点でXD・Lパッケージなら、インパネに合成皮革が使われ、XDエクスクルーシブモードには劣るものの、不満のない上質感を味わえます。CX-60では、どのパワーユニットでも、グレードはLパッケージが最低ラインです。

そしてXD・Lパッケージ・2WDの価格は400万4000円で、XD・Sパッケージよりも42万3500円高いですが、オプションのセーフティクルーズパッケージ(5万5000円)、シースルビューパッケージ(9万3500円)など合計31万5000円のオプションを標準装着しています。

さらにアルミホイールのサイズが20インチに拡大されたり、前述のように内装の質も高まるため、XD・Sパッケージに比べた時の価格アップが42万3500円でも、実質的に55万円相当の価値を加えています。つまりXD・Lパッケージは、パワーユニット、装備ともに割安です。

CX-60のライバル比較

XD・Lパッケージ・2WDが、直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボを搭載して内外装の質も高め、価格を割安に抑えた背景には、ライバル車の存在もあります。

一番の強敵はトヨタ ハリアーハイブリッドG・2WDで、価格は411万9000円です。

ほかのカテゴリーも含めて、好調に販売される日本車の上限価格帯は400〜450万円になるため、CX-60はこの価格帯に属するXD・Lパッケージ・2WDを割安にしました。

CX-60の走行性能

XD・Lパッケージ・2WDは走りの満足度も高いです。ディーゼルエンジンは最高出力が231馬力、最大トルクは4.5Lのノーマルガソリンに匹敵する51kg-mです。発進直後の1400回転付近から余裕のある駆動力が発揮され、高回転域の吹き上がりもガソリンエンジン並みに活発です。フル加速を試すと、シフトアップは約4800回転で行われました。

ノーマルタイプのディーゼルは車両重量が比較的軽く、リヤサスペンションの設定が、マイルドハイブリッドを備えたディーゼルやPHEVとは異なります。後輪側のスタビライザー(ボディの傾き方を制御する足まわりのパーツ)は、あえて装着していません。

この変更により、マイルドハイブリッドやPHEVに比べると、足まわりが柔軟に伸縮します。街中を時速40km以下で走ったり、段差を乗り越えた時も、足まわりがゆったりと柔軟に動いて上級のパワーユニットよりも快適です。

足まわりの変更で、運転感覚と走行安定性にも違いが生じました。マイルドハイブリッドのディーゼルやPHEVは、後輪の安定性を重視しますが、ノーマルのディーゼルは車両の動きに軽快感が伴います。曲がりくねった峠道を走ると、ほかのパワーユニットよりも楽しいです。

コントロール性も優れ、カーブを曲がる時にアクセルペダルを意図的に戻すと、車両を積極的に内側へ向けることも可能です。スポーツカーのマツダ ロードスターにも似た操る楽しさがあります。

CX-60のグレードごとの特徴

これまで触れてきたようにノーマルタイプのディーゼルは、乗り心地が問われる街中の低速走行と、軽快な走りを楽しむ峠道に適します。

XD Lパッケージ

一方、マイルドハイブリッドのディーゼルやPHEVは、直進安定性が重視される高速道路が得意です。高めの速度域では、街中に比べて乗り心地も快適に感じます。

PHEV

このようにCX-60の走りは、パワーユニットによって性格が異なり、国内市場に適するのはノーマルタイプのディーゼルです。その中でもXD・Lパッケージ・2WDは、前述のように買い得度が際立っています。

一方、充電可能なハイブリッドのPHEVは、1回の充電によりWLTCモードで74kmを走行できます。エンジンを停止させたモーターのみの走行も相応にパワフルで、動力性能は2.5Lのガソリンエンジンに相当します。

アクセルペダルを深く踏むとエンジンが始動しますが、ノイズが急に増える印象はありません。そしてPHEVに使われるエンジンは、直列4気筒2.5Lのガソリンで、最高出力は185馬力、最大トルクは25.5kg-mです。それがエンジンとモーター駆動を組み合わせた総合的なシステム最高出力になると324馬力で、システム最大トルクは51kg-mに増強されます。

PHEVではモーターがパワフルで瞬発力も高いため、アクセルペダルを踏み込んだ時は、エンジン性能を効果的にサポートします。吸気音もチューニングされ、4.5L前後のガソリンエンジンを積んでいる感覚で運転できます。

その代わり価格は500万円を大幅に上まわり、PHEVエクスクルーシブモダン/スポーツは584万6500円、最上級のPHEVプレミアムモダン/スポーツは626万4500円です。充電可能なハイブリッドは、経済産業省による補助金の交付を受けられる場合もあり、2022年度の交付額は54万8000円でした。

PHEV プレミアムモダン

この金額を差し引いても、PHEVエクスクルーシブモダン/スポーツの実質価格は約530万円ですから、買い得グレードのXD・Lパッケージ・2WDは約130万円安いです。以上のようにCX-60には、パワーユニットや装備を予算や好みに応じて選ぶ楽しさがあります。特にノーマルタイプのディーゼルとPHEVは、別の車種と思えるほどに運転感覚が異なります。複数のパワーユニットを乗り比べて購入すると楽しいと思います。

CX-60のボディカラーは全7色

【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:茂呂 幸正】

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