社説:国際女性デー 政治参加の環境整えよ

 きょうは、女性への差別に反対し、社会参加や地位の向上を目指す「国際女性デー」である。

 世界的に日本の男女格差の大きさが問題視されて久しい。特に目立つのが政治分野だ。

 格差を数値化した昨年の政治分野の「ジェンダーギャップ指数」は、日本は女性議員・閣僚の少なさから139位と最下層に低迷している。

 今月下旬から統一地方選が始まる。暮らしに身近な課題や行政サービスなどの政策決定の場に、男女等しく視点を取り入れられるか。社会全体での取り組みが求められる。

 共同通信の調べによると、都道府県と市区町村の全1788地方議会の議員全体に占める女性議員の割合は15.4%にとどまる。

 女性議員がいない「女性ゼロ議会」は、昨年11月時点で257と全体の7分の1を占めるという。女性が1人しかいない議会は437で、両方合わせると4割近くに上る。

 京都では笠置、和束、与謝野の3町、滋賀では米原市と甲良町が女性議員ゼロだった。甲良町は半世紀以上も不在が続く。

 超党派の議員立法で5年前に成立した「政治分野の男女共同参画推進法」は、政党が擁立する候補者の男女均等を掲げる。だが、実態はあまりにもかけ離れている。

 法の趣旨を守り、各党は積極的に女性候補を擁立し、支援すべきだ。議席の一定数を女性に割り当てるクオータ制の導入も検討に値しよう。

 地方議会のなり手不足が深刻化する中、休日や夜間に及ぶ選挙活動や議会の長時間拘束の見直し、リモート出席を認めるなど運営改革に取り組む必要がある。

 仕事や家庭と両立できるようになれば、女性だけでなく若者や障害者など多様な人材を迎えることにもつながる。

 見過ごせないのは、投票や選挙応援をする立場を利用して候補者や議員に嫌がらせをする「票ハラスメント」だ。有権者と握手の際に体を触られたり、育児との両立に嫌みを言われたりした経験がある女性議員は少なくない。

 研究者や弁護士らでつくる団体は今月、女性候補の悩みに応じるオンライン相談窓口を開設した。

 意欲のある女性が、不合理な制約やハラスメント、古い慣習によって立候補を諦めるようなことがあってはならない。男女を問わず、地域を支える力を育み、生かせるかが問われている。

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