人間国宝の技、多彩な備前焼堪能 新見で伊勢崎さん作品展 会期中盤

伊勢崎さんの多彩な作品を楽しむ来館者

 新見市西方の新見美術館で開催中の「人間国宝 伊勢崎淳 備前の世界」(同市、山陽新聞社など主催)は会期中盤。8日も岡山県内外の陶芸ファンらが訪れ、備前焼の人間国宝(重要無形文化財保持者)伊勢崎淳さん(87)=備前市=が手がけた近作・新作中心の約50点に見入っていた。

 2020年に伊勢崎さんから寄贈を受けた作品も初公開。「黒長方皿」は伝統的な塗り土の技法を応用し、鉄分の多い土を用いた黒褐色の縁と中央に流れる緋襷(ひだすき)との対比が絶妙になっている。

 最新作の「角花生」は直方体のシャープな輪郭で、上部の胡麻(ごま)と下部の明るい焼け色が特徴的。オブジェの「いきもの」はふっくらとした造形が重なり、硬質な焼き物の概念を打ち破るよう。このほか精巧な技や多彩な表情を堪能できる優品が並んでいる。

 徳島県上板町の公務員(57)は「焼き色が素晴らしく見応えがある。館内を2度回って作品を楽しみました」と話していた。

 会期は4月9日まで。月曜休館。

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