災害備蓄用食料品 廃棄回避が課題 一度に大量、仲介のNPO苦慮

岡山高校に届けられた、災害備蓄用の水が入った大量のケース

 保管期限が近づいた災害備蓄用食料品の廃棄回避が課題として浮上している。寄付された食料品を生活困窮者らへ贈る仲介をしているNPO法人フードバンク岡山(岡山市)には行政や企業から寄付の申し出があるが、一度に大量の品が来るため引き取り手が十分には見つからず苦慮している。岡山高(同市)の生徒らも配布の協力を始めた。

 先月、災害備蓄用の500ミリリットルペットボトルの水約9500本を送る申し出が大阪の商社からあった。賞味期限は3月中旬。フードバンク岡山は急いで水の配布先を探した。

 学生などが多い中国学園大に約4000本、岡山県立大に約1300本を引き受けてもらい、残り約4300本を岡山高に託した。

 同高は校内で配布したほか、近くの妹尾公民館に協力を仰いだ。2月下旬、生徒らが公民館の講座生に直接配布したり、ロビーに置いて持ち帰ってもらったりする取り組みを始めた。賞味期限がきてもまだ飲めることなどを記した手書きの啓発ちらしも添えた。

 それを見た地域の人からもイベントで配布する提案が得られるなど、協力の輪が広がっている。

 フードバンク岡山には行政からの依頼も次々来る。岡山市からの最近の事例では、水を注ぐだけで食べられるアルファ米など約5万食分をボランティアが出て輸送もした。軽四トラック25往復分もあり、食品ロスを回避しようと懸命に取り組むものの、負担も大きいという。

 例えば岡山市は、被害想定が大きくなるのに伴い備蓄量を増やしつつあり、今後も期限が迫った大量の食料品が出てくる見込みだ。

 フードバンク岡山の糸山智栄理事長は「生活困窮者に役立つという、きれいな話だけでは済まない現実がある。どうすれば有効活用がうまくできるか社会で考えてもらいたい」と話す。

11日、さん太ホールでシンポ

 災害備蓄と食品ロス回避の問題は、「食べ物を無駄にしないために~食品高騰の中で」をテーマに、11日午後2時から山陽新聞社さん太ホール(岡山市北区柳町)で開く本紙シンポジウムで取り上げる。申し込みは特設サイト(https://c.sanyonews.jp/sdgs_sympo)から。無料。

 問い合わせは、山陽新聞社NIE推進部(086―803―8075、平日午前10時~午後6時)。

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