
安倍政権下で放送法の「政治的公平」に関する解釈が変更されていたとの行政文書を巡り9日、野党や有識者から批判が相次いだ。共産党の志位和夫委員長は記者会見で「報道の自由を根底から侵害する解釈だ」と訴え、撤回を求めた。立憲民主党会合に出席した元上智大教授(メディア法)の田島泰彦氏は「報道の現場に過度な萎縮をもたらす」と問題視。当時総務相だった高市早苗経済安全保障担当相は国会で、総務省が認めた文書の内容を重ねて否定した。
志位氏は「放送法の根底には、表現の自由を保障する憲法21条がある」と指摘。放送局の番組全体で公平性を判断するとの従来の解釈により、放送の自由が確保されてきたと強調した。田島氏は立民会合で「一つの番組だけで公平性を判断するとなれば、メディアが権力監視の役割をどこまで果たせるか非常に疑わしくなる」との認識を示した。日本維新の会の馬場伸幸代表は会見で「権力者がメディアの頭を押さえつけるような手法では、到底理解は得られない」と注文を付けた。
