〈この春、卒業を迎えるみなさまへ〉
横浜市営地下鉄片倉町駅(同市神奈川区)の改札に、心温まるメッセージが掲示されている。同駅業務係員の伊藤諒太郎さん(23)が、4月から新たなステージへと進む自身と、卒業を迎えた学生らを重ね合わせ、率直な思いを綴(つづ)った。
〈ホームが深く、電車から降りる、乗るだけでも一苦労するような、決して便利とはいえない駅だったと思います。雨が降ろうと雪が降ろうと、それでも元気に登校されるみなさまの姿は、我々も元気をいただける、かけがえのないものでした〉
駅に近い高校の生徒をはじめ、多くの学生が利用する同駅。2年近く勤務する伊藤さんは、明るい高校生の姿に自然と元気をもらってきた。駅構内巡回中に「お疲れ様です」と声をかけられたこともあったという。
同駅では、これまでにも業務主任の佐藤聡さん(43)が季節に合わせた飾りを作り、利用者の目を楽しませてきた。伊藤さんはそんな先輩から影響を受け、「お客様への感謝の気持ちを書いた」
〈さて、新生活への準備はいかがでしょうか。私も準備しなくてはなりません。お世話になりました〉
「横浜市交通局協力会」に所属して同駅で働いてきた伊藤さんは、4月からは同市交通局の職員となり、担当する業務も増える。「同じ仕事とはいえ、新人なのでおごらず堅実にやっていきたい」と意気込む伊藤さんは、新生活を迎える学生らに向けて、「4月は緊張で疲れやすい時期。体調を崩さないように気を付けてもらいたい」と気遣っていた。