2100年のAIによる桜の開花予想を発表

地球温暖化による約80年後の気象への影響を評価、桜が開花しない地域も

2023年3月10日
株式会社島津ビジネスシステムズ

株式会社島津ビジネスシステムズ(京都市中京区、以下SBS)は、3月10日にスマートフォン向けアプリ「お天気JAPAN」にて、AIを用いた2023年と2100年時点の桜の開花予想を発表しました。地球温暖化により2100年に気温が4℃上昇する場合の予想では、北日本を中心に開花が早まる一方、九州の一部地域では桜が開花しなくなる可能性があることが分かりました。

温暖な地域も高精度に予測する改良版AI

島津ビジネスシステムズでは、SDGsへの取り組みの一環として、気候変動対策事業を進めています。現在、スマートフォン向け洗濯物の乾きやすさ予測アプリ「はれほす」、太陽光発電量予測システムなどのサービスを提供しています。2010年より自社の気象予報士による独自の桜の開花予想を開始し2018年からはAIを活用してきました。10年以上にわたる桜の状態や気象データをAIに学習させ開花時期を予想しており、お花見スポットを含む全国約1,000カ所の開花情報を毎日更新しています。今年の予測では機械学習方法を改良し、相対的に的中率が低かった温暖な地域の予測精度を高めました。

従来のAI予想との比較

●お天気JAPAN 今年(2023年)の桜の開花予想はこちら

■ 温暖な地域も高精度に予測する改良版AI

当社は2022年より、地球温暖化による農業への影響を評価するために、AIによる2100年の桜の開花予想の研究を開始しました。研究では「地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)」の、4℃上昇実験のシミュレーションデータを用いています。

本予想では、「2100年は各地の開花は2022年時点での平年開花日から最大で16日ほど開花が早まる」という結果が得られました。東京では3月21(平年より3日早い)、大阪では3月17日(平年より10日早い)、北海道・東北・北関東ではさらに早まる傾向にあります。一方、一部地域では開花が遅れ、長崎・宮崎・鹿児島では冬季の休眠が不十分なため桜が開花しない可能性があることが予想されました。

桜(ソメイヨシノ)は、前年の秋から休眠状態に入り、一定期間低温にさらされることで花芽が眠りから覚め(休眠打破)、開花の準備を始めます。2100年の開花予想では、桜が休眠に入る時期が現在より遅くなることで、休眠打破の時期も遅れます。休眠打破後の気温は現在より高いため、花芽の発育が早まり、結果として開花時期が早まるパターンが多くなります。一方、休眠打破が遅れた影響で開花も遅くなるパターンがいくつかの地域で確認されました。また、九州の一部では低温期間が短く休眠を打破できず、桜が開花しない予想結果となっています。

東京の2014年と2100年の気温

2100年 地域別桜の開花予想

≪北海道・東北地方≫

≪関東甲信地方≫

≪東海北陸地方≫

≪近畿地方≫

≪中国四国地方≫

≪九州地方≫

2100年の桜の開花予想手法

2100年の予想気温については、「地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)」のシミュレーションデータを用いています。これは気象庁、東京大学、京都大学、国立環境研究所、海洋研究開発機構、筑波大学と文部科学省の合同プロジェクトにより作成され公開されたデータです。

気候モデルによる4℃上昇実験(2051年~2111年8月×90メンバ)の中から、2099年~2100年×6メンバを抽出してAIによる予測を行い、今回は極端値である第115番予想を評価対象としました。

( d4PDFWEBウェッブサイトサイト: https://www.miroc-gcm.jp/d4PDF/ )

【株式会社島津ビジネスシステムズについて】

株式会社島津製作所の100%出資の子会社として1999年に設立され、気象庁予報業務許可事業者第65号として、独自のAI技術を活用した気象情報を提供しています。スマートフォン天気予報アプリとして「お天気JAPAN」「アメミル」「お天気時計」「はれほす」などのサービスを展開しています。

●お天気JAPAN の「2100年の桜の開花予想」ページ

2100年の開花予想