【WBC】「世界一の選手」大谷翔平は"チームで勝ちたい" =大会前日会見動画より

会見翌日のWBC初戦での大谷翔平 @Getty Images

大谷翔平が3月8日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)開幕前の記者会見に臨んだ。

この動画をじっくり見返してみた。本人はインタビューに応じる際、決して「熱く語るタイプ」ではない。いつもそうだ。クールに落ち着いて自分の気持ちを口にする。

そういった中でこの日感じられたのが「勝つためのリアリティー」だった。

8日の会見では「シンプルに優勝した国が一番強い」と語った言葉が印象的だった。さらに先発投手としての役割も冷静に「チームに勢いをつけること」とも。

メジャーリーグMVPまで獲得した"世界一"の選手とて、チームとしてのタイトルは決して多くはない。日本ハム時代の2016年に日本一の経験があるのみ。高校時代にも甲子園では頂点に立てず、2018年から所属するロサンゼルス・エンゼルスは自身が移籍加入する以前の2015年からポストシーズン進出を果たせていない。

そういった中で「勝つこととは何か」という大谷自身への問いを読み解くとまた奥深い。

「SPOTVNEWS」は当日の会見を現地で取材した。動画とテキスト全文を紹介する。

【動画】大谷翔平 開幕前日インタビュー映像はこちら

ーー明日からWBCが開幕します、今の気持ちは?

まず楽しみにしていますし、チームの勢いとしても初回の入りからしっかり集中して入りたいなと思います。

ーー日の丸を背負って二刀流での出場。どういう思いを持っているか?

WBCは初めてなので緊張するとは思いますけど、いつも通りの自分らしいプレーをまずはしたいなと思っていますし、いつも通りの準備の仕方とゲームの心構えとそういう感じでやりたいなとは思っています。

ーー投手としてはまだ投げていないが、投打のコンディションは?

バッティングは何打席か立てたので状態も悪くないと思いますし、向こうではピッチングもしてきて、ブルペンはこっちでは入って今日も少し投げて……体の状態もすごくいいのでいつも通りの入りができれば十分に試合を作れるんじゃないかなと思います。

ーー投手としてどれだけのパフォーマンスを出せるか?

今の自分の100%は出せると思っていますが、実質今年初めての公式戦というか本番の試合なので、正直どこまで出るのかというのはその時になってみないと分からない部分もあります。その日の調子によると思うので、今の調整の延長線上で入りをしっかりできれば、十分に行けるんじゃないかと思っています。

ーー「二刀流を貫くこと」とは?

自分のプレースタイルではあるので、投打ともにチームに必要だと思われているのであれば、もちろん出たいなと思っています。できる限りのことをしたいなと思っているので、(今大会では)一つのスタートとして、明日しっかりとまず投げるのが初めなので、そこから入って攻撃もしっかりと参加したいなと思っています。

ーー今大会をどういう大会にしたいか?

本当に良い試合ができれば。勝ち負けはもちろん付き物だとは思うんですけど、その中で自分たちの野球を各国ができれば素晴らしい大会になるんじゃないかと思ってます。

ーー明日の先発登板をいつ言われたのか? またその時の気持ちは?

正式にいつなのかというのはちょっと分からないので……話し合いながら他の投手との兼ね合いもあると思いますし。さっき(コーチングスタッフと)話して「もう先発を発表するから」という風には言われたのでその時に正式に決まった感じですね。

ーー開幕投手ということで気持ちの高ぶりや変化はあるか?

どこに所属していても、一番最初の試合というのは高まりというか緊張というのはあると思います。 明日ももちろんあると思いますし、もちろんこういう大きい舞台で初戦を任されるということに対して責任感を持っていますけど、それと同時にしっかりとまずはゲーム自体を楽しみたいとは思っているので、そのための準備をしっかりできればと思ってます。

ーー初の球数制限がある公式戦。そこへの心構えは? またシンカーの効果は?

球数のことはあまり考えずに、僕以降のピッチャーも十分力のある投手達が控えているので、まずはもう一人一人、一球一球、一回一回気持ちを入れてゼロに抑えることだけ考えていければ、あとは自分自身がチームにどれだけ勢いを与えられるかだと思うので、球数が終わった時点でその後の投手に託したいなとは思っています。 シンカーに関しては、持ち球の一つなので、別に球数どうこうは関係なく、しっかりと使えれば効果的なボールかなと思います。 

ーー栗山英樹監督が日の丸を背負って戦うことに関して。

もう何回も言ってると思うので今更になるんですけど、お世話になった監督なのでこういう舞台でできるというのはすごい特別なことですし、もちろん一緒に優勝できればこれ以上はないかなと思います。 

ーーメンタル面でも技術面でも今がベストのように思えるが?

フィジカルは今までで一番いいんじゃないかなと思っていますし、技術というか体調面に関して言うならば、本当に明日になってみないとその日の調子は正直わからないので……今の現時点では申し分ないかなと思います。 

ーー大谷選手にとってWBCの位置付けはどういうものなのか?

シンプルにその……これで優勝した国が一番強い国だという大会になればベストですし、 そういうトップ層の選手たちが出ることによって、そういう大会に近づいていくというのはもちろん明確だと思うので、今回たくさんの素晴らしい選手が出てくれたというのは大会自体にとっては、すごく大きいことかなと思います。 

ーーヌートバー選手に対しては?

僕がいなくても十分にチームに溶け込める、そういう人間性というか人柄だなと思うので、何も心配することはないですね。本当に明日の試合でファンの人の声援が大きければ大きいほど、本人のやる気もそうですし、自分が日本という国に受け入れてもらえているのかどうなのかというのを本人が分かると思うので、ぜひ素晴らしい声援を送ってもらえれば、僕としても嬉しいかなと思います。 

ーーヌードバー選手が馴染めるように大谷選手が意識していることは?

特に意識してないですね。そのまま溶け込んでいると思いますし、今のままで十分だなと思ってます。

© 株式会社SPOTV JAPAN