驚き…1千万円超の使途不明金、さいたま市PTA協で発覚 役員知らぬ間に保険代理店へ払われ全額返金される

1079万円の使途不明金 さいたま市PTA協議会

 埼玉県のさいたま市PTA協議会(市P協)は9日、2019~22年度の4年間にかけて、計1079万円の不明瞭な取引による使途不明金が判明し、第三者委員会を設置すると発表した。市P協はホームページ(HP)で、「会員の皆様をはじめとする関係者の皆様には、多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしますことを深くお詫(わ)び申し上げます」としている。

 HPなどによると、22年4月に通帳から出金された額の根拠資料がなく、使途不明の領収書が見つかり、会計顧問から指摘を受けて詳細を確認。市P協の保険口座から、支払い先の保険代理店に「防災事業委託費」として、19年度に143万円、20年度に176万円、21年度に275万円、22年度に485万円の計1079万円が支出されていた。

 今年2月10日、支払い先に対し、契約書などの提示や委託の内容と実績を書面で照会したところ、同16日に支払い先の代理人弁護士から、イベント実施などの預かり金だったと回答書が届き、今後の見通しがつかないとして、翌17日に全額が返金された。市P協の現在の役員は取引内容を把握していないという。

 市P協は2月22日付で特別委員会を設置。第三者の調査が必要として、弁護士1人と税理士1人による第三者委員会の設置に向けて準備を進めているという。4~6月の3カ月間程度の調査を想定し、必要に応じて関係者から事情聴取を実施する。組織運営の問題点や再発防止などの提言を求めるとしている。

 市教育委員会生涯学習振興課によると、市P協から申請を受け毎年度165万円の補助金を支出している。今回の問題の報告を受けているものの、詳細な説明はないという。同課は「非常に驚いている。(市P協が)今後、調査すると思う」。補助金の返還を求めるかについては「事実が明らかになっているわけではないので、状況を見守っていきたい」としている。

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