東日本大震災から12年 震災の影響は今も続いている?被災地では世代交代が進行?

2011年3月11日発生した東日本大震災からきょうで12年目を迎えました。沿岸部を襲った大津波と、福島第一原子力発電所事故は、その後の日本の防災、環境、まちづくりなどに大きな影響を与えましたが、選挙も例外ではありません。この記事では震災が選挙に与えた影響を振り返るとともに、今の状況をまとめてみました。

選挙の延期で、被災3県では今秋に選挙が集中

震災によって大きく影響を受けたのは選挙の日程です。2011年4月には地方自治体の長と議員の選挙を全国一斉に行う「統一地方選挙」が行われる予定で、3月11日は統一地方選で最初に選挙期間がスタートする知事選の告示日までわずか2週間のタイミングでした。

しかし、選挙の実施主体となる県や区市町村が復旧作業に追われ選挙執行が困難な状況だったため、国は延期のための震災特例法(東日本大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律)を制定しました。

特例法では当初、延長期限を2011年9月22日までとされていましたが、同年夏の時点でも実施のめどが立たない自治体が相次いだことから、さらに法改正によって2011年12月末までに延ばしました。

こうした法的な動きがあり、選挙を延期した自治体数は57団体に上りました。最も時期がずれたのは2011年福島県議会議員選挙で、当初より約7カ月遅れの11月20日が投票日となりました。

この影響で、被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の選挙は秋に実施されるケースも多く、2023年9月の選挙予定は77件、2023年10月の選挙予定は34件、2023年11月の選挙予定は58件となっています。

進む震災後の世代交代?

未曾有の大災害の中でも選挙制度を維持してから12年。被災地では世代交代も進みつつあります。

津波で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市では、今年2月の陸前高田市長選挙で、震災当時から市長を務めていた戸羽太氏が新人候補に敗れ、市長が交代しました。

自身も被災した中で選挙を乗り越え、復興を牽引してきたリーダーが敗れたことに衝撃が広がりました。

選挙ドットコム編集部が調べたところ、震災特例法で統一地方選挙から時期がずれた57自治体の首長のうち、東日本大震災当時の首長が続投している自治体は岩手県や宮城県、岩手県盛岡市や福島県川内村などわずか9自治体となっています。

任期満了をもって退任したり、体調悪化を理由に辞職したりするケースが多くを占める一方で、震災復興の道筋で意見が分かれ、辞職に至るケースもありました。

福島第一原発事故で全町避難となった福島県双葉町では震災当時に町長を務めていた井戸川克隆氏が汚染土壌を受け入れる中間貯蔵施設の受け入れを巡って町議会と意見が対立。町議会が不信任決議案を可決した後に、自ら辞職しました。辞職に伴う2013年の双葉町長選挙で現職の伊澤史朗町長が初当選を果たしました。

選挙では「現職有利」とも言われますが、震災のような緊急事態下では苦しい決断を迫られる現職が厳しい立場に置かれるケースもあるようです。

災害が起きても選挙の維持が必要な理由は?

大規模震災などの復興を優先させるための特例法の制度は1995年の阪神淡路大震災を機に制定され、有事の際でも有権者の選挙の機会を守るために機能しました。

一方で、住民避難が他自治体に避難していたために、自治体には有権者の所在を把握するための負担がかかりました。また、通常時期のように自治体が投票所にスタッフを配置したり、有権者に投票所までの移動手段を確保してもらうことが困難だと指摘する声もあります。

地震国の日本では、大規模震災がいつ起きてもおかしくありません。投票によって首長や議員を選ぶことは、国や地域ごとの防災対策を充実させるためにも必要な行動の一つです。東日本大震災の節目を迎える時期だからこそ、あなたの1票の大切さを見つめ直してみませんか。

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