スズキ 2代目スペーシアは2017年12月に登場しました。さらにはSUV風の軽ハイトワゴンであるスペーシアギアや軽商用車の新型スペーシアベースを発売し、多彩なラインアップでユーザーのさまざまなニーズに応えています。そんなスペーシアの価格や内装、スペックやおすすめグレードなどをカーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんが詳しく解説します。
スペーシアのおすすめポイント
・好みや用途に応じて、4つのタイプを選び分けられる
・マイルドハイブリッドの搭載で燃費性能が優れている
・水平基調のボディで四隅が分かりやすく、視界も良好
スペーシアのレビュー・評価
総合評価 4.0 ★★★★☆
5段階採点の解説
外観
内外装はスーツケースをモチーフにしています。ボディの側面や収納ボックスのフタに凹凸を付けて、ボリューム感を表現しました。
内装
インパネは水平基調で視認性や操作性が優れ、後席の頭上と足元の空間も広いです。後席の座り心地は、もう少し柔軟性が欲しいです。
走行性能
ノーマルエンジンは実用回転域の駆動力が不足気味です。ステアリング操作に対する反応も穏やかですが、後輪の接地性と安定性は高いです。
運転のしやすさ
インパネの上面は平らで前方視界も良いです。ボンネットが少し視野に入り、ボディの先端や車幅も分かりやすいです。最小回転半径は4.4mです。
乗り心地
タイヤの指定空気圧が240kPaと高めで、時速40km以下では乗り心地が少し硬いです。しかし突き上げる不快な粗さは抑えました。
価格の割安度/燃費/維持費
買い得グレードのハイブリッドXは、実用装備を充実させてマイルドハイブリッドも搭載しながら、価格を153万3400円としました。
総合評価の解説
スペーシアのノーマルエンジンは、実用回転域の駆動力が不足気味です。ステアリング操作に対する反応も穏やかですが、後輪の接地性が高いため、高重心の軽自動車ながら不安定になりにくいです。車両の動きは全般的に鈍いですが、誰にでも扱いやすい性格です。
水平基調のボディは視界が良く、ボディの四隅も分かりやすいです。最小回転半径は、売れ筋の14インチタイヤ装着車は4.4mに収まり、小回りの利きも良好です。特に街中で運転しやすく感じます。
実用面では収納設備を充実させ、助手席の前側には、表面をスーツケース風に仕上げたアッパーボックス、その下に引き出し式の収納ボックスとカップホルダー、さらにグローブボックスも備わります。助手席の下にも大容量のボックスが装着され、ハンドルが付いているから車外にも持ち出せます。
荷室の開口部は、下端の地上高を510mmに抑えたため、自転車を積む時にも前輪を大きく持ち上げる必要がありません。日常的な使いやすさがスペーシアの一番のメリットです。
良かった点
・収納設備が豊富で荷室も使いやすく、日常的な実用性が高い
・デザインがシンプルで、小回りの利きも良く運転しやすい
・インパネ周辺の視認性や操作性が優れ、初心者ドライバーも安心
気になった点
・ノーマルエンジンは登坂路などで実用回転域の駆動力が不足気味
・標準ボディにはパワー不足を補うターボが用意されない
・転がり抵抗を抑えたタイヤの装着もあって乗り心地が硬め
スペーシアの基本スペック・価格表
スペーシア
スペーシアカスタム
スペーシアギア
スペーシアベース
スペーシアはスズキがラインナップするスーパーハイトワゴンです。全高が1700mmを超える背の高いボディによって車内が広く、前後席の頭上と足元にも、十分な空間があります。後席を格納すると大容量の荷室になって自転車などを積みやすく、後席側のドアはスライド式だから乗降性も優れています。
ボディタイプも豊富で、標準仕様、エアロパーツを装着したカスタム、SUV風のギア、商用車のベースもあります。内外装のデザインは比較的シンプルで、馴染みやすい雰囲気を備えています。
スペーシアのボディサイズ
スペーシアの燃費
スペーシアの発売日と納期の目安
2代目スペーシアは2017年12月に登場しました。さらに2018年12月にはSUV風の軽ハイトワゴンであるスペーシアギアを、2022年8月には軽商用車の新型スペーシアベースを発売し、多彩なラインアップでユーザーのさまざまなニーズに応えています。
納期と今後のモデルチェンジ予想
販売店によると「スペーシアの納期は、どのタイプでも約3か月」とのことです。今は小型/普通車を中心に、納期が6か月以上の車種も増えましたから、スペーシアは短い部類に入ります。
また現行スペーシアは2017年12月に登場したので、2024年中には次期型に切り替わる可能性があります。
最近の売れ行き&人気度
発売から5年以上を経過しましたが、売れ筋のスーパーハイトワゴンとあって、売れ行きはあまり下がりません。スペーシアギアに加えて、軽商用バンのスペーシアベースも加わり、ボディバリエーションを増やしたことも人気の秘訣です。
スペーシアのリセールバリュー
リセールバリューの5段階採点:4点
2023年の時点で、発売から5年以上を経過したため、売却時には中古車の流通台数も増えています。従って有利な条件で売却できるとは限りませんが、人気車ですから売却額が大きく下落する心配もないです。
スペーシアのおすすめグレード
おすすめグレード:標準ボディのハイブリッドX(153万3400円/2WD)
機能と価格のバランスで最も買い得なグレードは、標準ボディのハイブリッドXです。スライドドアの電動開閉機能は両側に備わり、エアコンの冷気を後席へ送るスリムサーキュレーター、ロールサンシェードなども標準装着されます。安全装備も、衝突被害軽減ブレーキに加えてサイド&カーテンエアバッグが備わっています。
ライバル車との比較
ライバル車は全高が1700mmを超える軽自動車のスーパーハイトワゴンです。スーパーハイトワゴンのホンダ N-BOXとダイハツ タントと比べてみましょう。
N-BOXと比べると、スペーシアは内装の質、乗り心地、ノーマルエンジンの動力性能が少し下がります。その代わり収納設備が充実しており、機能や実用装備の割に、価格を安く抑えました。
タントと比べると、走行安定性と後席の座り心地に不満を感じますが、乗り心地はスペーシアが柔軟です。シートアレンジも、スペーシアは操作が単純で扱いやすいです。ほかの車種に比べて、誰にでも親しみやすいクルマ造りに特徴があります。
スペーシアのカラーバリエーション
スペーシア
※ハイブリッドXは全12色、ハイブリッドGはモノトーンのみ全8色
スペーシアカスタム
※ハイブリッドXS、ハイブリッドXSは全11色、ハイブリッドGSはモノトーンのみ全7色
スペーシアギア
スペーシアベース
スペーシアを販売店で試乗するときのポイント
ノーマルエンジンは少しパワー不足なので、登坂路を試乗してみましょう。不満を感じたらカスタムやギアのターボも試します。最大トルクがノーマルエンジンの1.6倍に増えて、運転しやすいです。
舗装の荒れた街中を時速40km以下で走った時に、乗り心地も確認します。後席の座り心地に不満がないかも、チェックします。
スペーシアは視界や小回り性能が優れているので、縦列駐車などを行ってみましょう。インパネ周辺の視認性や操作性、豊富な収納設備、床の低い荷室の使い勝手なども確認します。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:茂呂 幸正/和田 清志】