《リポート》新型コロナ自宅療養者食料支援 実施自治体7割 月末まで 申込減、生活平常化 「役割果たした」

土浦市が自宅療養者向けに配布した食料や日用品=同市大和町

新型コロナウイルスに感染した自宅療養者向けに自治体が独自に行っている食料支援について、実施している20市町村の7割が3月末で終了する見込みであることが10日までに、茨城新聞の調べで分かった。政府は5月にも新型コロナの位置づけを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる方針。各自治体は生活の平常化を見据えており、継続する自治体も引き下げの際に見直す構えだ。

▽行動制限を緩和

自宅療養者向けに食料や日用品の無料配布を現在行っているのは石岡市や鹿嶋市など20市町村。このうち本年度末の3月末までで終了する見込みは14市町村。

土浦市は2月17日で終了した。政府による新型コロナの行動制限が緩和され、支援の申込者も減ったためとしている。

同市健康増進課によると、市は2021年9月から加工食品や日用品、衛生用品の提供を始めた。昨年9月に感染者の全数把握が見直されたのを受け、県が同様の支援を終了。市は「まだ感染が多く困っている人は多い」とし、感染増の「第6波」から「第8波」まで独自で支援を続けてきたが、終了を決めた。開始から1月12日までで総計3361件を提供した。

▽買い物対象外に

終了の理由について各自治体は、行動制限の緩和により短時間の買い物は制限の対象から外れたことを挙げる。無症状の濃厚接触者や感染者も最低限の外出ができる。市町村担当者は「ネットスーパーの利用や普段からの備蓄を呼びかけている」と説明する。

行動制限緩和のたびに対象者を見直し、1人暮らしの高齢者や妊娠中、重症化リスクのある人などに絞り込んだ。3月末での終了を見込む自治体は「役割は十分果たした」との見方だ。潮来市は「備蓄の準備をするよう呼びかけており、意識が浸透しつつある」、桜川市は「在庫がなくなり次第終了する見込み」と現状を説明する。

▽「5類」で終了へ

一方、神栖市や大子町など6市町は提供を継続する見込みで、2023年度予算案に盛り込む。

神栖市は発熱外来に情報を置いてもらい月約20件の申し込みがあるという。「困った人のために続けたい」と指摘する。ただ政府が5月の大型連休明けに5類引き下げに踏み切る見通しで、各自治体は引き下げに伴い終了も検討する。大子町は「申し込みは週に1~2件に減った。5類引き下げで終える可能性もある」と見据える。

食料支援は、県が終了した前後に笠間やかすみがうら、小美玉市といった多くの市町村が提供を終了した。各市町村は困窮世帯向けの支援や子ども食堂、フードバンクの利用促進といった従来の多様な支援を続ける考え。

© 株式会社茨城新聞社