〈東日本大震災から12年〉響く音色 被災地に思い 上越・妙高市5寺院「勿忘の鐘」 発生時刻に合わせ

 東日本大震災から12年目の11日、上越、妙高両市の5寺院で「勿忘(わすれな)の鐘」が突かれた。同市寺町2の高田別院では、子どもからお年寄りまで30人以上が参加。地震発生時刻の午後2時46分に鐘を突き、被災地や震災で亡くなった人、今も苦しんでいる人に思いを寄せた。

地震発生時刻に合わせて「勿忘の鐘」を突く参加者(高田別院)

 勿忘の鐘は震災を忘れず犠牲者に思いを寄せ、復興と支援に心をつないでいこうと、震災翌年の平成24年に岩手県の本稱寺と宮城県の東北別院から始まった。高田別院では、真宗大谷派高田教区(上越3市)キッズふくしま実行委員会が主催した。
 二男、三男と参加した岡田直生さん(36、妙高市国賀)は当時、石材店での仕事中に揺れを感じた。被害が明らかになるにつれ、「ただ事ではない」と思った。福島県には修業時代の友人もいて、後に無事を確認。現地での炊き出しにも参加したという。
 当時生まれていなかった2人の子どもから「12年の時の流れを感じた」と語った岡田さん。「地震の恐ろしさを強く感じた。日々、備えていくことを心掛けたい」と話した。
 キッズふくしま実行委員会副委員長の関隆徳さん(32)は「仏教では十三回忌に当たる年。昔のように思えるが、この震災を忘れないでほしいと始まった取り組みなので、この地で続けていけたら」と願った。
 総務省消防庁によると、1日時点で東日本大震災による死者は1万9765人、行方不明者は2553人。また、県内における2月末時点の避難者数は1911人、上越市では9世帯22人。

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