三浦の小学校で皮剝ぎ体験「これが和紙になるとは」

へらを使いながら、コウゾの皮の黒い部分を丁寧にそぎ落とす児童たち=7日、三浦市立初声小学校

 三浦市立初声小学校(同市初声町下宮田)の5年生が7日、同校で手すき和紙の原料となるコウゾの皮剝ぎを体験した。市民グループ「三浦手漉(す)き和紙を考える会」(角田義行会長)のメンバーらの指導で、きれいな皮に生まれ変わった。

 クワ科の落葉低木であるコウゾは、柔らかな内側の皮の繊維が太くて長い。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている手すき和紙の原料として古くから重宝されてきた。

 前日の6日に同会が農地の一角で栽培しているコウゾの枝を刈り取った。この日、約70人の5年生は蒸したコウゾの皮を丁寧に剝いだ後、へらを使って黒皮や緑色の皮を取り除いた。

 処理したコウゾの枝(長さ約60センチ)は約300本に達し、教室内には焼き芋のような香りが広がった。真剣な表情で作業をこなしていた田中彪琉さん(11)は「剝がすのが面白かった。これが和紙になるとは想像できないが、出来上がりが楽しみ」と話していた。

 白くなった皮は角田会長宅で2週間ほど乾燥させ、6月に紙をすく。色紙サイズにして、来年3月の卒業式に贈られる予定だ。

 同校では地域交流の一環として同会の提案で昨年9月、校内にコウゾの苗木12本を植え、育てている。来年には刈り取れる程度まで成長するという。(佐藤 浩幸)

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