保護者「納得できない」 こども園不適切保育疑い 説明会で園は否定、佐世保市対応に批判

 長崎県佐世保市南部の認定こども園で暴力や暴言など不適切な保育が疑われている問題で、同園は10日夜、保護者説明会を開いた。関係者によると、園側は改めて暴力などを否定したが、保護者からは複数の園児がたたかれたなどと訴えているとして「納得できない」と園を追及する意見が相次いだ。同席した同市担当者にも「誰かが命を落とさないと市は何もしないのか」と憤りの声が上がり紛糾した。

 関係者によると、園内であった説明会は園関係者、市関係者、数十人の保護者が出席し、2時間超に及んだ。園長は冒頭「ご心配をおかけして心苦しい」としながらも「(新聞報道を)拝見し初めて聞くことが多かった」と説明。だが本紙が2月下旬に園長に取材した際、園長は既に大半の事実関係の有無を調べていた。
 暴力などを否定する園に対し、ある保護者は「(自分の子どもが)『先生が頭ぱちんした』と家で言っている。自信を持って何もしていないと言えるのか」と不信感を示した。別の保護者も「これだけたたかれたとの声があるのに、なぜ疑わないのか。子どもの言ったことがすべて」とただすと、園長は「子どもがうそを言っているとは言っていない」としながらも「確認が取れず(暴力が)あったと断言できない」と釈明した。「私は子どもをどこに預けたらいいんでしょうか」などと泣きながら訴える保護者もいたほか、保護者アンケートを求める声もあったという。
 「暴力などを確認できない」とする市の対応にも批判が相次いだ。ある保護者は、昨年夏に園から帰宅後脱水症状を示した子どもが複数いて、教室のエアコンに関する相談が市にも複数もたらされていることを挙げ「誰かが命を落とさないと市は特別監査に入らないのか」と憤った。別の保護者も「こんなに(子どもの訴えを)否定する園が市に(暴力などを)本当に報告をすると思うか」と疑問を呈した。市子ども未来部の竹下由美部長は「重く受け止めている。再度(事実関係を)確認して指導する」と述べたという。


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