まぶた赤く腫れぼったい…眼科医師に聞く原因、治療法 眼窩脂肪ヘルニアや腫瘍の可能性も

 両眼とも上下のまぶた、特に目頭側が赤く腫れぼったくなっています。数年前からですが、最近ひどくなってきたように感じます。痛みはありません。考えられる原因、どの診療科を受診すればいいのか、治療法を教えて下さい。(80代女性)

【お答えします】田中波・福井大学医学部附属病院眼科医員

眼窩脂肪ヘルニア、循環不全、腫瘍の可能性

 「両方の上下まぶたが赤く腫れぼったい」という症状でお悩みなのですね。見え方に問題がなく、日常生活に支障がないといっても、目の周囲は皮膚が薄いため、腫れや赤み、しこりなどが目立ちやすい場所です。まして、目はその方の印象を大きく左右するため、まぶたが腫れるというのは大変気になることと思います。

 両まぶたの腫れが継続しており、腫れ以外の症状があまりないということですが、考えられる原因として眼窩(がんか)脂肪ヘルニア、循環不全によるむくみ、腫瘍などが挙げられます。

(1)眼窩脂肪ヘルニア

 「眼窩」とは、眼球周囲の部分で、筋肉、結合組織、脂肪などが存在します。その眼窩にある脂肪が、目の前の方に出てくる状態を「眼窩脂肪ヘルニア」といいます(ヘルニアとは、身体の一部が隙間を通って本来の部位とは別の場所にはみ出してくることをいいます)。程度が軽ければ治療する必要はありませんが、進行すると美容的に問題となってきます。手術で切除や移動させることもありますが、その場合は健康保険適用外の美容医療になることもあります。

(2)循環不全によるむくみ

 血液やリンパの流れが滞ることでまぶたが腫れることがあります。加齢によるまぶたの皮膚の重度のたるみが原因のこともありますし、目の周囲の血管の異常でむくみが生じることもあります。また、まぶた以外に足など全身にもむくみがある場合は、心不全、肝不全、腎臓疾患、甲状腺機能異常などが疑われますのでその場合は内科での診察・検査が必要です。

(3)腫瘍

 眼窩周囲に腫瘍などの病変があることによりまぶたが腫れることがあります。眼科を受診しMRIやCTでの画像検査や病理検査による診断が必要になります。

原因さまざま、まずは特定を

 このようにまぶたの腫れの原因はさまざまで、治療不要で経過観察となるものもあれば、腫瘍や血管の異常など早急に治療が必要になるもの、または内科的疾患が潜んでいることもあります。しっかりと症状の原因を特定し、それぞれに合った治療を選択することで改善することもあります。専門医を受診し、検査・診断を受けることをお勧めします。

© 株式会社福井新聞社