就実 笑顔で高校バレー“卒業” 神戸で金蘭会戦「一生の宝物」

ポイントを奪い喜ぶ就実のメンバー=神戸総合運動公園体育館

 高校バレーボール女子の強豪で、1月の全日本高校選手権を新型コロナウイルスの影響により欠場した就実(岡山)が12日、神戸市で昨夏のインターハイ覇者の金蘭会(大阪)とエキシビションマッチを行った。Vリーグチームが舞台を提供。不本意な形で目標を奪われ涙を流した選手たちは「一生の宝物になる」と笑顔でコートを駆け回った。

 「春高バレー」の愛称で知られる選手権で、史上2校目の3連覇を目指した就実は、初戦直前のコロナの抗原検査で選手1人に「陽性反応」が確認され不戦敗となった。その日のうちに医療機関で受けたPCR検査は陰性だったが、大会事務局の決定は覆らなかった。

 エキシビションマッチは五輪2大会代表の石井優希(倉敷市出身)らOGが所属するV1の久光が企画し、金蘭会が対戦を快諾して実現した。「(春高バレーの後は)悔しく苦しかった。たくさんの人の支えで、また前を向ける」と前主将のセッター岩本沙希(3年)。この日は3セットを行い、0―2とされた就実は最終セットをジュースの末に制し、応援が解禁された客席で保護者らが大歓声を上げた。

 3年生にとっては仲間とのラストゲーム。4月から地元岡山を離れるセンター岡田愛菜は「1球1球にみんなの思いが詰まっていて、あっという間だった。大学でもプレーを続け、可能性を広げていきたい」。最後は笑って高校バレーを“卒業”した選手たち。西畑美希監督は「(コロナ禍の)我慢の中でひたむきに努力してきた世代。諦めない大切さを逆に教えられた。これから先の困難も乗り越えられる」と門出にエールを送った。

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